研究課題/領域番号 |
18K06801
|
研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
永松 正 名城大学, 薬学部, 教授 (70103265)
|
研究分担者 |
早川 伸樹 名城大学, 薬学部, 教授 (40340252)
水野 智博 名城大学, 薬学部, 助教 (40711669)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | ミトコンドリア / 膜電位 / アポトーシス / 最終糖化産物 / 凝集アルブミン / マイトファジー / アクチン / メサンギウム細胞 |
研究実績の概要 |
STZ糖尿病マウスの血中からゲルろ過により凝集アルブミンと思われる8MDaの分画を得ることができた。分離したタンパク質がアルブミンであることを、抗マウスアルブミン抗体を用いてELISA法、およびLC-MS/MSで確認し、この分画中にIgGや補体が含まれること、アルブミン438番目のリジンがCML(カルボキシメチルリジン)化されていることを明らかにした。 この分画のタンパク質がメサンギウム細胞のCaspase 3/7を活性化させること、TUNEL陽性細胞を増加させる、すなわちメサンギウム細胞にアポトーシスを生じることを明らかにした。 in vitroで調製したAGE-コレステロール凝集アルブミン(ACAA)でヒトメサンギウム細胞を刺激すると、ミトコンドリア膜電位およびATP産生が初期には増加し、その後、次第に低下した。メサンギウム細胞に、ACAA取り込み後にアポトーシスを思わせる、凝縮が生じることをアクチン染色で確認した。ミトコンドリアの凝縮をMitotrckerで確認した。このようなメサンギウム細胞の形態、ミトコンドリア形態変化が、ミトコンドリア障害薬であるOligomycin ComplexやAntimycin-Aでメサンギウム細胞を処置したときに起きることからACAAがミトコンドリアを障害することが示唆された。細胞内酵素カスパーゼの触媒部位に不可逆的に結合し活性を阻害するQ-VD-OPHでメサンギウム細胞を前処置するとACAAによるメサンギウム細胞のアポトーシスが阻害された。また、ACAAを取り込んだメサンギウム細胞中に、異常ミトコンドリアを処理するマイトファジーが生じることを確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度の研究計画にある、スタウロスポリンによるアポトーシス関係の実験を完了した。AGE-コレステロール凝集アルブミン処置後のメサンギウム細胞におけるミトコンドリアのATP測定、膜電位測定、形態変化における実験は完了した。糖尿病マウス血液からAGE化凝集アルブミンを単離して、メサンギウム細胞に対する作用を検討した。糖尿病患者の血液についての検討は、藤田医科大学臨床実験倫理委員会へ実験計画を提出して審査を受けている。
|
今後の研究の推進方策 |
AGE-コレステロール凝集アルブミン(ACAA)がどのような経路でミトコンドリアに障害を及ぼすか、糖代謝、TCAサイクルの代謝物をLPLCやグルコース測定キットや乳酸測定キットを用いて検討する。 ACAA中にコレステロールが含まれるかをTLCやGC-MASを用いて検討する。そして、糖尿病マウスの血液から得られる凝集アルブミン分画にコレステロールや脂肪酸が含まれるか否かを検討する。この検討は、糖尿病患者から得られる血液サンプルで糖尿病患者に腎臓病がおきるかどうかを判断する検討に用いる。 糖尿病患者から得られる血液サンプル中にACAA様の凝集アルブミンが存在するか否かを検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
一部の実施事項を次年度での検討事項へ変更した。具体的には、メサンギウム細胞をACAAで刺激したときの培養液を濃縮して、その濃縮培養液でポドサイトを培養してアポトーシスが生じることか否かを検討する。Cell to Ctキットを購入して、アポトーシスに関係する遺伝子及びタンパク質の発現について検討する。また、メサンギウム細胞をACAAで刺激したときの、メサンギウム細胞のミトコンドリアの代謝についてHPLCを用いて検討する。
|