研究課題/領域番号 |
18K06801
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
永松 正 名城大学, 薬学部, 教授 (70103265)
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研究分担者 |
早川 伸樹 名城大学, 薬学部, 教授 (40340252)
水野 智博 名城大学, 薬学部, 助教 (40711669) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 凝集アルブミン / ミトコンドリア / アポトーシス / アクチンフィラメント / ポドサイト / ネフリン / スリット膜 / アルブミン尿 |
研究実績の概要 |
培養メサンギウム細胞(MCsと略す)にコレステロール存在下で最終糖化産物(AGE)化した凝集アルブミン(以下ACAAと略す)を取り込ませ24時間培養すると、MCsのミトコンドリアにおけるチトクロームC(CytC)の発現が増加し、細胞質へ漏出することを明らかにした。このことは、これまでにACAAによりメサンギウム細胞でアポトーシを起こすメサンギウム細胞が増加することを支持している。さらに、ACAA処置後のMCsにおけるCytCの放出機構について検討した。ACAA処置6時間後、MCsのCytC放出促進タンパク質のBid, Bad, Noxa mRNAは増加したが、CytC放出抑制タンパク質のBcl-2及びCytC放出経路タンパク質のBakのmRNA発現は低下した。この結果は、ACAA処置6時間目でのアポトーシスを起こした細胞はわずかであった以前の結果を支持している。また、ACAA処置24時間後のMCsでCytC放出抑制タンパク質のBcl-2 mRNAは著明に低下し、逆にCytC放出経路タンパク質のBaxのmRNAの発現は増加した。これらの結果は24時間目においてアポトーシスを起こすMCs数の割合が増加することと一致している。次にACAAが糖尿病性腎症の微量アルブミン尿の発症と関係するかをポドサイト(糸球体上皮細胞)を用いて検討した。MCsにACAAを取り込ませて、24時間培養した時のACAA除去培養液でポドサイトを18時間培養したところ、ポドサイトのアクチンフィラメントが凝縮した。また、ポドサイト特異的なタンパク質であるネフリンのmRNAの発現が低下した。このことは、ACAAが微量アルブミン尿発症の原因となりうることを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
糖尿病患者の同意のもとに血液サンプルを入手することができた。今後、患者血液サンプルを用いた検討が、研究協力者の所属先である藤田医科大学で名城大学の研究室と同じように実施できるか検討する。検討に必要な患者サンプルを用いたゲル濾過実験をやるためのゲル濾過装置の確保について藤田医科大学での調査を研究分担者の早川及び研究協力者の中嶋に依頼する。ゲル濾過装置が見つかれば、名城大学で用いていたゲルカラムで予備実験を行い、名城大学での結果と同じ結果が得られることを確認する。
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今後の研究の推進方策 |
糖尿病患者血液サンプルをゲル濾過して、ボイドボリュウム直後のろ液中にACAA様分子があるかどうかを確認し、患者の臨床データと照らし合わせる。また、糖尿病患者の血液サンプル中にACAAに由来するポドサイト障害性ペプチドを糖尿病性腎症のバイオマーカーとして使用できるか否かの検討をHPLCを用いて実施する。すなわち、ACAAを取り込んだメサンギウム細胞培養上清をHPLCにかけ、得られたピークのどのピークに、ポドサイト障害性があるのかを培養細胞を使って検討する。その後、糖尿病患者血清をHPLCにアプライして、臨床データーと照合する。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に予定していた消耗品および投稿予定の論文の業者による英文校正の発注費用を持ち越したため。 次年度の消耗品と英文校正の費用として用いる。
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