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2018 年度 実施状況報告書

リアルワールドデータによるドラッグ・リポジショニング・シグナル検出方法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 18K06805
研究機関近畿大学

研究代表者

高田 充隆  近畿大学, 薬学部, 教授 (00434853)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードFAERS / 有害事象自発報告 / レセプト / ドラッグ・リポジショニング / ジゴキシン / 抗精神病薬
研究実績の概要

研究対象医薬品として、心不全の治療に用いられるジゴキシンとがんとの関連について検討した。有害事象自発報告データベースのDisproportionality analysisで得られる逆シグナルとレセプトデータベースおよび処方データベースのSymmetry analysisで得られる逆シグナルの共通性を確認した。データベースとして、米国FDAが公開する有害事象自発報告データベース(FAERS)と日本医療情報センター(JMDC)が提供するレセプトデータベースを用いた。FAERSではRORとICを、またJMDCレセプトデータベースではASR(調整順序比)を指標として用いた。食道がん、胃がん、大腸がん、すい臓がん、肺がん、乳がん、子宮がん、卵巣がん、前立腺がん、膀胱がん、皮膚の悪性腫瘍、血液のがんの12種のがんについて検討した結果、胃がん、大腸がん、前立腺がん、血液のがんで2つのデータベースでドラッグ・リポジショニング・シグナルを検出した。ジゴキシンのがん抑制効果は、すでにin vitro, in vivoおよび臨床研究である程度のエビデンスがあり、有害事象自発報告データベースおよびレセプトデータベースの解析による逆のシグナルがドラッグ・リポジショニング・シグナルとして活用できる可能性を示した。
また、抗精神病薬と関節リウマチ (RA)との関連についても検討した。クロルプロマジン、プロクロルペラジン、ハロペリドールおよびリスペリドンにおいて、RAと逆の関連が検出された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

循環器用薬について、網羅的にがんとの関連を米国の有害事象自発報告データベースであるFAERSをDisproportionality analysisで解析するとともに、JMDCレセプトデータベースをSymmetry analysisで解析した結果、ジゴキシンと各種がんとの逆の関連を検出した。また、ジゴキシンががんに対して抑制的に働く可能性が示唆されたため、文献調査を実施したところ、in vitro、in vivoおよび臨床研究においても、今回の解析結果を支持する文献が散見された。有害事象自発報告データベースのDisproportionality analysisによる解析やレセプトデータベースのSymmetry analysisによる解析で得られる逆シグナルがドラッグ・リポジショニング・シグナルとして活用できる可能性を強く示唆する結果が得られた。これらのことから、当初の研究目的としているリアルワールドデータによるドラッグ・リポジショニングのシグナルとして活用可能であると考えられた。

今後の研究の推進方策

有害事象自発報告データベースのDisproportionality analysisによる解析やレセプトデータベースのSymmetry analysisによる解析で得られる逆シグナルがドラッグ・リポジショニング・シグナルとして活用できる可能性をさらに確認する目的で、網羅的な解析を継続し、得られたドラッグ・リポジショニング・シグナルについて、文献的検討を実施するとともに、効率的な網羅的解析手法の確立について検討を重ねる。
さらに、得られた、ドラッグ・リポジショニング・シグナルについて、BaseSpace Correlation Engine (Illumina Inc., CA, USA) やConnectivity Map (CMap) などの各種遺伝子発現データベースを用い、類似する遺伝子発現を示す化合物を探索するなど、得られたドラッグ・リポジショニング・シグナルをさらに補強する手法の開発を進める。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 医療ビッグデータのドラッグリポジショニングへの応用-抗精神病薬と関節リウマチの関連性-2018

    • 著者名/発表者名
      中川千拓,細見光一,髙田充隆
    • 学会等名
      医療薬学フォーラム 2018/第26回クリニカルファーマシーシンポジウム
  • [学会発表] 大規模データベースを用いたジゴキシンのドラッグ・リポジショニングに関する検討2018

    • 著者名/発表者名
      横山聡,杉本泰浩,細見光一,髙田充隆
    • 学会等名
      第28回日本医療薬学会年会

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公開日: 2019-12-27  

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