研究課題/領域番号 |
18K06805
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
高田 充隆 近畿大学, 薬学部, 教授 (00434853)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | FAERS / メトホルミン / アミオダロン / 間質性肺炎 / 甲状腺機能亢進症 / 甲状腺機能低下症 |
研究実績の概要 |
抗不整脈薬であるアミオダロン(AMD)は、間質性肺炎、肝障害、甲状腺機能亢進症および甲状腺機能低下症などの様々な重篤な副作用を生じることが知られている。その発症機序やリスク因子は不明な点が多いが、いくつかの先行研究においてAMDが誘発する酸化ストレスやミトコンドリア機能障害が様々な副作用の発症に関わっていると報告されている。一方、糖尿病治療薬であるビグアナイド系薬剤のメトホルミンは、酸化ストレスを低下させる作用を有することが報告されており、メトホルミンの併用が、AMDによるこれらの副作用の発症リスクを低減する可能性があると考えられた。そこで、米国FDAが公開する有害事象自発報告データベース(FAERS)を用い、Disproportionality analysisによるシグナル検出を行い、メトホルミンの併用がAMDのこれらの副作用発現リスクにどのように影響するかについて検討した。その結果、AMD服用患者における間質性肺疾患は、メトホルミンの併用により発症リスクが低減される可能性が示唆された。また、メトホルミンの服用はAMDのみならずその他の薬剤による間質性肺疾患の発症リスクについても低減させる可能性があることが示唆された。 これらの成果をまとめ、「Inverse Association between Metformin and Amiodarone-Associated Extracardiac Adverse Events」として、International Journal of Medical Sciences,2020; 17(3):302-309.として公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究において、抗不整脈薬であるアミオダロン(AMD)の重篤な副作用である間質性肺炎、肝障害、甲状腺機能亢進症および甲状腺機能低下症などについて、糖尿病治療薬であるメトホルミンがこれらの副作用のリスクにどのように影響するかについて、米国FDAが公開する有害事象自発報告データベース(FAERS)を用い、検討したの結果、メトホルミンの併用が、間質性肺炎の発症リスクを低減される可能性があることが示された。さらに、メトホルミンの服用は、AMDのみならずその他の薬剤による間質性肺疾患の発症リスクについても低減させる可能性があることが示された。本年度の研究成果については、 ては、「Inverse Association between Metformin and Amiodarone-Associated Extracardiac Adverse Events」として、International Journal of Medical Sciences,2020; 17(3):302-309.に公表した。
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今後の研究の推進方策 |
1年目および2年目と同様に、有害事象自発報告データベースおよびレセプトデータベースなどのリアルワールドデータを用い、同様の手法により、ドラッグ・リポジショニングのシグナル検出を網羅的に行う。主なターゲットとして、抗精神病薬を選び、リウマチを対象疾患として行う。さらに、得られた、ドラッグ・リポジショニング・シグナルについて、BaseSpace Correlation Engine (Illumina Inc., CA, USA) やConnectivity Map (CMap)などの各種遺伝子発現データベースを用い、類似する遺伝子発現を示す化合物を探索するなど、得られたドラッグ・リポジショニング・シグナルをさらに補強する手法の開発を進める。
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