研究課題/領域番号 |
18K06812
|
研究機関 | 国立医薬品食品衛生研究所 |
研究代表者 |
石井 明子 国立医薬品食品衛生研究所, 生物薬品部, 部長 (50291117)
|
研究分担者 |
多田 稔 国立医薬品食品衛生研究所, 生物薬品部, 室長 (50506954)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 抗体医薬品 / Fc受容体 / FcγRIIb / 薬理作用 / 薬物動態 |
研究実績の概要 |
近年,様々な次世代型抗体医薬品の開発が進み,特に,各種の抗体に共通するFcドメインのアミノ酸配列を改変した抗体医薬品の開発が増えている.Fcドメインは主に免疫細胞に発現するFc受容体を介して抗体による生体機能制御に関わるため,抗体医薬品の品質・有効性・安全性の確保には,Fc受容体を介した生体応答に関する最新の知見の活用が必要となっている.本研究では,最近の抗体医薬品開発動向から,新たに注目すべき分子として,アゴニスト抗体の作用増強や抗原抗体複合体のクリアランスに関わるとされるFc受容体(FcγRIIb)を取り上げ,今後の抗体創薬と個別化医療への貢献を念頭に,①FcγRIIbの抗体分子認識機構,②FcγRIIbを介した細胞内シグナル伝達及び③FcγRIIbを介した抗体の細胞内輸送の機構を明らかにし,FcγRIIbを介した抗体医薬品の薬理作用・薬物動態の制御機構の解明を行う. 本年度は,FcγRIIbを介した細胞内シグナル伝達,及び,抗体の細胞内輸送を解析するため,種々のヒト培養細胞株におけるFcγRIIbの発現の有無について検討し,FcγRIIbを介した細胞応答の解析に適した細胞株の選別を行うとともに,独自に樹立したFcγRIIbを安定発現する細胞株を用いて,FcγRIIbの活性化を評価可能なアッセイ系の構築に着手した.加えて,FcγRIIbの機能を阻害するツールとして抗ヒトFcγRIIb抗体を調製した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で計画している解析,すなわち,①FcγRIIbの抗体分子認識機構,②FcγRIIbを介した細胞内シグナル伝達,③FcγRIIbを介した抗体の細胞内輸送機構の解析に用いる細胞株等を構築することができ,概ね予定通りの進捗である.
|
今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続きFcγRIIbを介した細胞応答(シグナル伝達,及び,抗体の細胞内輸送)を解析するための評価系の構築を進める.細胞内輸送に関しては,受容体直下のシグナルの他,細胞種に特異的な分子の関与も考慮して,評価を進める.
|
次年度使用額が生じた理由 |
予定していたよりも使用する試薬が少なかったため,次年度使用分が生じた.次年度使用分は,FcγRIIb親和性改変抗体の作製や特性解析に必要な試薬の購入に用いる.
|