研究課題/領域番号 |
18K06814
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
北田 容章 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (80324614)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 遺伝子組換え / 両生類 / 組織再生 / 蛍光蛋白質 / 細胞運命追跡 |
研究実績の概要 |
トランスジェニック動物ではノックイン等の特殊な手法を用いなければ外来遺伝子が複数個所に導入されるため、こうしたトランスジェニック動物を用いて部位特異的遺伝子組換え技術を応用した場合、想定外の遺伝子組換えが生じることが懸念される。本研究では、再生可能動物である両生類(特にゼノパス)において、部位特異的遺伝子組換えによるspatiotemporalな遺伝子発現制御を可能とするため、部位特異的遺伝子組換えに資する遺伝子座位(safe-harbor locus)に類似する遺伝子座位を同定すること、あるいは部位特異的遺伝子組換えが可能となる程度に導入外来遺伝子数が少なくなる手法を開発すること、そして、低温生育動物である両生類における遺伝子組換えに適した遺伝子組換えシステムの同定を目的としている。2018年度はゼノパスにおける遺伝子組換えを検討するため、ゼノパス腎上皮由来の培養細胞であるA6細胞を用いて、I-SceI酵素を利用したゲノム内遺伝子挿入を行い、遺伝子組換えにより発現する蛍光蛋白質が変化する細胞株を作成した。I-SceIを用いることで高効率の遺伝子挿入が可能となっただけでなく、導入遺伝子数の最小化が可能となった。また、Flpリコンビナーゼはオリジナルのものに加え37℃での酵素活性を向上させたFlpe、及び哺乳類に最適化したFlpoが知られているが、これらにCreリコンビナーゼを加えた4種のリコンビナーゼ活性について遺伝子組換え効率の検討を開始した。プラスミドを用いた遺伝子導入では、蛍光蛋白質の蛍光で検定される表現型において、いずれの活性も大きな違いを生じなかった。現在ウイルスを用いた遺伝子導入による遺伝子組換え効率の検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「研究実績の概要」欄に記載した通り、予定通り、プラスミドベクターの開発や、それを用いたゼノパス細胞株の作成、および各種リコンビナーゼによる一定程度の遺伝子組換え効率の検討を行うことができた。一方で、ゼノパス胚を用いた研究に遅れを生じている。これは、プラスミドベクター構築の段階で蛍光蛋白質の発現が思いがけず低くなってしまった事象を是正するために生じた遅延である。この点を勘案し、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
「現在までの進捗状況」欄に記載したとおり、ゼノパス胚を用いた研究に遅れを生じている。プラスミドベクター構築において蛍光蛋白質の発現レベルが想定よりもかなり低いという問題が生じたため、その問題の解決に時間を要した。現在では蛍光蛋白質発現レベルの向上をさせることができたため、今後は遅滞なく研究を進めることが可能となるものと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
「現在までの進捗状況」等に記載したとおり、ゼノパス胚を用いた実験に遅れを生じていたため、その実験に要する費用として次年度使用額を計上する必要が生じた。前述のとおり、現在ではゼノパス胚を使用した実験の見通しが立ったため、来年度中の速やかな実験遂行が可能と考えている。
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