研究課題
内在性幹・前駆細胞の利用を念頭に置いた再生分野の研究では特定の細胞を標識しその細胞運命の追跡を行う必要があるが、この場合、主に遺伝学的な手法によるレポーター遺伝子の導入という手法が用いられ、特に部位特異的遺伝子組換えの手法が頻用される。本研究では、自発的に生じる再生により機能再建を果たす両生類であるゼノパスにおいて、部位特異的遺伝子組換えによるspatiotemporalな遺伝子発現制御を可能とするため、ゼノパスを始めとした両生類における部位特異的遺伝子組換えに資する遺伝子座位(safe-harborlocus)、あるいはそれに類する遺伝子座位を同定することや、同染色体内に遺伝子導入が生じない程度の低頻度な外来遺伝子導入を可能とする手法の開発を目的としている。2021年度は、2020年度において作成した、Cre/loxPシステムあるいはFlp/FRTシステムによるトランスジェニック個体の繁殖と掛け合わせを行い、F1動物を得た。レポーター動物である神経細胞特異的プロモーター制御下にレポーターとしてmKate2遺伝子を導入しているため、神経細胞及び軸索特異的にmKate2の赤色蛍光を確認しており、かつまたドライバーとして脊髄上衣細胞特異的プロモーター制御下に両端をERT2遺伝子にて挟んだ遺伝子組換え酵素を発現する遺伝子を導入したトランスジェニック動物も得ている。後者は蛍光蛋白質を含まないため、外来遺伝子として逆向きにクリスタリンプロモーター制御下にtdTomatoを組込み、眼球における赤色蛍光を確認することで導入遺伝子のゲノム内組込みを確認している。これら数系統ずつのトランスジェニック動物を掛け合わせたダブルトランスジェニック動物を得ている。ゼノパスは性成熟に最短で8ヶ月を要するため、実験に十分なn数を得ることに時間がかかっているが、予備実験が可能な段階になりつつある。
3: やや遅れている
新型コロナウイルスの蔓延により、進捗に遅れを来している。2020年度までにF0動物作出までは問題なく完了したが、その後成熟に支障のない動物の選別に時間を要した。また、性成熟に要する期間(最短で8ヶ月)のために実験に必要なn数の確保に時間を要している。F2動物も随時得られつつあるため、2022年度中の実験完了が見込まれる。
各個体における導入遺伝子座については、RACEあるいはNGSによる whole genome sequencing 等を用いて決定する予定としている。現在F2動物が得られつつあるため、n数が確保でき次第、遺伝子組換え効率に関する予備実験・本実験を開始する。
新型コロナウイルスの蔓延により、進捗に遅れを来している。また、2020年度までにF0動物作出までは問題なく完了したが、その後成熟に支障のない動物の選別に時間を要した。2022年度はF2動物の作出・繁殖と、遺伝子組換え効率の確認、および外来遺伝子の導入遺伝子座の同定を行う。研究費は、動物の購入・維持、遺伝子組換え誘導薬(タモキシフェン)等の消耗品費や、次世代シークエンサーによるゲノム解読に関する業務委託費。及び学会発表のための国内旅費等に用いる。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (11件) (うち招待講演 1件)
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