研究実績の概要 |
ジアシルグリセロールキナーゼアイソザイムの分子多様性の解明および細胞内における機能解析を進めて行くに伴い、開口分泌複合体の構成要素であるSec6が、様々な分子に対して、プロテインホスフォターゼの1つであるPP2Aによる脱リン酸化をコントロールしていることが明らかとなった。 PP2はサブユニットA, B, Cがあり、それぞれがタンパク間結合することによって、ターゲット分子の脱リン酸化を行う。Sec6は、サブユニットA,B,C間のタンパク結合を調節することにより、細胞内における様々な分子のリン酸化と脱リン酸化を調節し、その結果として細胞内シグナル伝達を調節していることが明らかとなった。このことはジアシルグリセロールキナーゼによるリン酸化を受けた分子が、脱リン酸化される際に影響を与えることを示唆するものである。 開口分泌における分泌小胞が、細胞内において形成される過程や形質膜へ輸送され、形質膜と癒合する過程においても、様々な分子がリン酸化されることが必要とされることが明らかになりつつある。このことから、開口分泌複合体構成分子Sec6の新たな機能が分泌小胞の形成・輸送メカニズムの解明へとつながることが期待できる。 また、分泌小胞膜中の膜中に存在するジアシルグリセロールキナーゼが、分泌小胞が開口分泌され、ターゲット細胞に取り込まれる際に、どのような分子をリン酸化し、そこにSec6がどのように機能しているのかを現在、研究中であり、解析を行っているところである。
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