研究課題/領域番号 |
18K06827
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
千田 隆夫 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (10187875)
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研究分担者 |
山田 名美 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 助教 (40727319)
松田 修二 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (70296721)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | APC / APC1638T / 脊髄 / 異常歩行 / 海馬 / PSD-95 / AMPA受容体 |
研究実績の概要 |
研究対象とするAPC1638Tマウスでは、APCタンパク質の1639アミノ酸以降のC末端が欠損している変異APCタンパク質を発現する。 (1)APC1638Tマウスは四肢の協調性を欠いた異常歩行を呈し、後肢の協調運動の位相性に問題がある。脊髄には歩行の律動的な基本リズムを生成する役割を持つCPG(central pattern generator)と呼ばれる脊髄介在ニューロン群が存在する。異常歩行の原因がCPGにあるかどうかを調べる為、腰部脊髄を検索した。腰部脊髄のパラフィン切片にKlüver-Barrera(KB)染色を施し、髄鞘と細胞核とニッスル物質を染め分けた。画像処理ソフトを使用し、腰部脊髄の灰白質の細胞核とニッスル物質の占める割合を算出し比較検討を行った。その結果、APC1638Tマウスの腰部脊髄灰白質の細胞核とニッスル物質が増加していることが分かった。APC1638Tマウスでは、細胞の移動や神経細胞の軸索輸送などに問題があり、CPGに問題をきたし、協調歩行の位相性に異常が生じている可能性がある。 (2)APC1638Tマウスでは学習記憶障害があることを私たちは既に明らかにしている。その原因を探るために海馬を集中的に検索した。野生型マウスと比較して海馬の全体的な形に違いは見られなかったが、歯状回の顆粒細胞層の厚さと細胞密度が増加していた。免疫電顕法による解析で、APC1638Tマウスの海馬のシナプス後部でのAPCとPSD-95の共局在と、APCとAMPA受容体の共局在のいずれもが認められなかった。免疫沈降でもこれらの結合が検出されなかった。また足を痛覚刺激した後、APC1638Tマウスの海馬でのcFos発現細胞が野生型よりも増加していた。APC1638TがPSD-95やAMPA受容体に結合できないことが、海馬の形態と機能の障害を生じている可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は4つの主たる研究目的からなる。1)腸絨毛の伸長に寄与するメカニズムの解析、2)統合失調症様行動異常の分子基盤の解析、3)歩行異常の分子基盤の解析、4)APCの細胞内局在の制御機構の解明。この中で本年度は2)と3)で良好な進捗が見られた。1)と4)についても研究は進めており、次年度(最終年度)中に成果が出る公算が高い。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の重要な目的の1つである「腸絨毛の伸長に寄与するメカニズムの解析」においては、幹細胞および分化した各種上皮細胞をマーカーで識別し、その陰窩内での局在の差異を検索している。と同時に、細胞増殖に関連するシグナル系の活性化状態をそれらの下流にある転写因子の発現量でチェックしている。「APCの細胞内局在の制御機構の解明」については、免疫染色で使用できる信頼性の高い抗体の作製に成功したので、それを使用して種々の細胞活性化状態でのAPCの局在変化を追跡する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究課題の成果発表のために出席を予定していた学会が中止になった。 免疫染色実験で使用した抗体数種類がキャンペーン等で予定よりかなり安く手に入った。
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