中性脂質をリン脂質一重膜が覆う脂肪滴は、細胞質のみならず、肝由来細胞および一部の非肝由来細胞では核内にも形成される。本研究では、肝由来細胞においては小胞体内腔で形成されたリポプロテイン前駆体脂質顆粒が核膜陥入構造を経由し、核膜陥入構造膜の崩壊により内腔から核質に移行して核内脂肪滴となる機序を明らかにした。さらに核内脂肪滴は特に小胞体ストレス誘導時に増加し、その表層でホスファチジルコリン合成酵素CCT alphaを活性化させ、細胞のリン脂質合成を増強させる場となること、脂肪滴分子PLIN3がCCT alphaと競合的に核内脂肪滴に結合し、リン脂質合成の内在性阻害因子となることを明らかにした。
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