研究課題/領域番号 |
18K06836
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
和中 明生 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (90210989)
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研究分担者 |
森田 晶子 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (70647049)
田中 達英 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (80567032)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | アストロサイト / GABA / トランスポーター / Olig2 / 淡蒼球 / レーザーマイクロダイセクション / shRNA |
研究実績の概要 |
予備検討でOlig2アストロサイトにおいてグリア型GABAトランスポーターであるGAT-3のmRNAが有意に高く発現していることが認められたので、これを更に詳細に検証する目的でより制度の高いレーザーマイクロダイセクション法を用いて淡蒼球におけるOlig2アストロサイトとGFAPアストロサイトを同一切片から抜き取ることを試みた。先のフローサイトメトリーと異なる点は淡蒼球という神経核に限局して解析すること、及び同一切片から2種類の細胞を分取することが出来ることであり、この2点の特徴によりさらに2種類のアストロサイトの機能分子の発現の差異を確定することを目標とした。Olig2-ChR2GFPマウスの淡蒼球でOlig2アストロサイトはGFPを使い、GFAPは免疫染色を用いてそれぞれを染色して、この染色を元に細胞を切り抜き分取した。10枚の切片から約1000個の細胞をそれぞれ切り抜くことが出来、ここからmRNAの抽出も出来ることが分かった。マイクロアレイ法の結果と同じくGAT-3の発現がOlig2アストロサイトで有意に高いことが明らかとなった。またこの実験と併行して、Olig2-CreマウスにGAT-3のshRNAがCre酵素依存性に発現するアデノ随伴ウイルスを片側淡蒼球に限局して注入し、Olig2アストロサイトで特異的にGAT-3を発現減少させることに成功した(Oli2-GAT-3KDマウス)。現在このマウスの運動機能の評価をロータロッドテストを用いて行っているところである。予備検討で複数日にテストを行った場合、コントロールマウスが運動機能の上昇(慣れ)を認めるのに対しOlig2-GAT-3KDマウスが上昇しないことを観察している。今後より多数のマウスを用いてこの現象を解析していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画ではOlig2アストロサイトとGFAPアストロサイトにDREADDベクターを感染させて2種類のアストロサイトをそれぞれ活性化、抑制することを目標としていたがその前に行ったフローサイトメトリーとマイクロアレイ法を用いて2種のアストロサイトの発現mRNAの違いの検討でGABAトランスポーターGAT-3の発現の差異が2種のアストロサイトの機能の違いに直結している可能性が濃厚なので計画を変更し、このGAT-3及び他の機能遺伝子の発現の差異をより精度の高いレーザーマイクロダイセクション法で検証、確定させることを優先的に行ったため計画より少し進捗が遅れた。しかし、GAT-3の発現の差異が本年度中に確定出來たことから、このGAT-3を特異的にOlig2アストロサイトで抑制する実験を開始したことで、この遅れを挽回しより目標に早く到達する可能性が出てきた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究はグリア型GABAトランスポーターのノックダウン実験に注力し、このマウスにおける運動機能を次年度で解析することとする。予備的検討としてロータロッド試験でノックダウンマウスとコントロールマウスの間に運動機能の差が認められているので、次年度はロータロッド試験に加えて、オープンフィールドテストや不安行動試験など様々な行動試験を課して運動機能以外の機能の評価も総合的に進めていく予定である。
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