研究課題/領域番号 |
18K06838
|
研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
上田 祐司 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (10364556)
|
研究分担者 |
田中 十志也 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任教授 (20396930)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | exosome / extracellular vesicles / mesenteric lymph / miRNA / rat / intestine |
研究実績の概要 |
本研究ではこれまでにラット腸リンパ液を直接解析することで、エクソソーム或いは細胞外小胞がリンパ液中に恒常的に存在すること、存在濃度や性状、構造を明らかにしてきた。 研究最終年度は昨年度に引き続き小腸特異的エクソソーム中に内包される分子探索を行った。腸所属リンパ節を事前除去したリンパ液(A)には腸由来エクソソームがそのまま流入するのに対し、対照群(B)のリンパ液には腸由来エクソソームがリンパ節で吸収、あるいはリンパ節から新たにリンパ液中に放出されるので、両者を比較することで分子の探索が可能となる。各群のエクソソーム画分を単離し、網羅的マイクロアレイ解析を実施した結果、有意にA>Bを示すmiRNAを12個、反対にA<Bとなるものを20個見いだすことができた。A>Bを示すmiRNAのいくつかは既に上皮バリア機能に関わる分子として報告されているものも含まれていた。miRNAをプローブに産生・受容細胞の組織内局在は引き続き解析中である。 次に同様の方法で小腸特異的エクソソームのプロテオーム解析を行った。その結果、A>Bを示す分子Xを見いだした。本分子のエクソソームにおける発現はこれまで報告がなされていないものの、神経系の病態にて密接に関与することが示されている。本研究結果は腸と神経系を繋ぐ新たなマーカーとして期待され、詳細な解析を継続して行っている。一方、A<Bを示すタンパク質も数種同定した。 以上の結果から、腸から恒常的に排導リンパへエクソソームが産生されていること、内包する固有分子を介した未知の機能調節機構の存在を明らかにすることができた。
|