研究課題/領域番号 |
18K06840
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
秋元 義弘 杏林大学, 医学部, 教授 (60184115)
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研究分担者 |
宮東 昭彦 杏林大学, 医学部, 准教授 (80255398)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 糖尿病 / 腎症 / アクチン / O-GlcNAc / リン酸化 / OGT / OGA / GKラット |
研究実績の概要 |
今年度は昨年度に引き続き糖尿病性腎症に伴う糖修飾アクチンの変化を解析し、糖尿病合併症における糖修飾アクチンの役割を解明することを目的に、O-GlcNAc化ペプチドを抗原として作製した特異的O-GlcNAc化199Serineアクチン抗体を用いて、糖尿病モデルGKラットの腎臓、さらに糖尿病性腎症のヒト腎臓における糖修飾アクチンの発現の変化について免疫組織化学的に光顕並びに電顕レベルで解析した。 また、核と細胞質との間のシャトリングにおけるアクチンの糖修飾の役割を明らかにするため、腎糸球体上皮細胞を高濃度のグルコースあるいは加水分解酵素O-GlcNAcaseの阻害剤PUGNAc並びにThiamet G存在下で1から8日間培養することによりアクチンへの糖修飾を増加させ、その際の細胞の形態変化並びに糖修飾アクチンの局在を光顕、電顕レベルで検討した。さらにこれとは逆に、O-GlcNAc転移酵素の阻害剤Ac4SGlcNAc存在下で培養し、アクチンへの糖修飾を抑制したときの形態変化並びに糖修飾アクチンの局在を光顕、電顕レベルで検討した。 さらに、培養糸球体上皮細胞を用いて、F-アクチンの脱重合を阻害するジャスプラキノライド、G-アクチンの重合を阻害するラトルンキュリン、あるいはF-アクチンのプラス端の伸長を阻害するサイトカラシンによる糖修飾アクチンの局在の変化を、ライブイメージング法にて解析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画に沿っておおむね順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
糖修飾の有無によるアクチンの核内での機能について明らかにする目的で、糖修飾アクチン抗体あるいは非修飾アクチン抗体を培養細胞にマイクロインジェクションあるいは抗体導入試薬を用いて導入し、糖修飾の有無による核内の形態変化、転写調節などへの関与を解析する。 さらに、糖修飾アクチンと相互作用する核内タンパク質を同定する。核画分タンパク質を、O-GlcNAc化アクチン抗体を用いて免疫沈降した後、一次元の電気泳動にてバンドを検出する。あるいは二次元電気泳動にてスポットを検出する。さらに糖尿病合併症に伴い発現量が変化するタンパク質を、電気泳動解析ソフトウェアを用いて調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
作製した糖修飾アクチン抗体が免疫染色、免疫沈降、イムノブロットに使えない場合を想定して、選択したO-GlcNAc化部位とは別のO-GlcNAc化部位を含む配列を選び、修飾ペプチドを作製、ウサギに免疫して、部位特異的ポリクローナル抗体を精製して実験を行うことを予定していたが、作製した糖修飾アクチン抗体が免疫染色、免疫沈降、イムノブロットに使えたためその必要がなくなった。今後、さらにO-GlcNAc化修飾ペプチドを使ってモノクローナル抗体を作製して糖修飾アクチンの役割について解析する予定である。
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