研究課題/領域番号 |
18K06853
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
松崎 健太郎 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 講師 (90457185)
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研究分担者 |
紫藤 治 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (40175386)
片倉 賢紀 城西大学, 薬学部, 准教授 (40383179)
住吉 愛里 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (40782404)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 運動トレーニング / 暑熱馴化 / 視床下部 |
研究実績の概要 |
長期的な自発運動トレーニングによる耐暑熱性の亢進効果と、視床下部における神経新生の関連を明らかにすることを目的として、視床下部における神経前駆細胞の増殖と神経性分化に及ぼす自発的運動の効果について検討した。ラットをランニングホイール付き飼育器(SN-451, Shinano)で40日間飼育した。自発運動期間の開始から、ラットの腹腔内にBromodeoxyuridine(BrdU, Sigma)を5日間連続で投与(50 mg/kg/day)した。自発運動トレーニングにより、高温環境下でのラットの耐暑熱性が亢進した。また、塩酸ピロカルピンによって誘導される唾液分泌量(熱放散機能)が運動トレーニングによって増加した。また、ラット視床下部における神経前駆細胞の増殖について、BrdU標識法を用いて免疫組織学的に解析した。運動トレーニングにより、前視床下部/視索前野などの視床下部領域において、BrdU陽性細胞数が増加した。一部のBrdU陽性細胞は成熟神経細胞のマーカーであるNeuronal Nuclei(NeuN)によって二重に染色された。また、視床下部において、神経分化マーカーであるDoublecortin(Dcx)や、神経栄養因子Brain-derived neurotrophic factor(BDNF)などの発現量が増加した。以上の結果から、長期的な自発運動トレーニングはラットの耐暑熱性を向上させるが、そのメカニズムには視床下部神経新生が関与する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
運動トレーニングによる視床下部神経新生と耐暑熱性の亢進を確認した。その機序としてBDNFの発現亢進が関与する可能性が確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
運動トレーニングによる視床下部神経前駆細胞の増殖機序の解明を目的として、サイトカインや活性酸素種(ROS)などの定量を行う。測定にはELISA法やBio-Plex Systemを用いることを計画している。また、細胞増殖や分化に関連する各種シグナル伝達因子の測定を行う。さらに、視床下部の神経新生を阻害した動物が暑熱に馴化するか否かを検討する。視床下部の神経新生を阻害する方法として、シタラビン(Ara-C)の側脳室投与を計画している。なお、Ara-C長期投与は視床下部における神経前駆細胞の増殖を抑制することや、動物の体重や行動量に有意な変化を起こさないことを確認している。さらに、脱馴化と視床下部神経新生の関連性についても検討を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍における学会参加見送りや、実験制限のため翌年度使用額が生じた。
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