研究課題
1) NRBP1-ユビキチンリガーゼのBRI2/BRI3のユビキチン化におけるCul2とCul4Aの必要性を検証した。Cul1、Cul2、Cul3、Cul4A、Cul4B、Cul5のドミナントネガティブ(DN)変異体発現ベクターを作製し、293T細胞にNRBP1、TSC22D3、TSC22D4、HA-TR-TUBEとBRI2あるいはBRI3を導入し、その細胞抽出液を抗HA抗体で免疫沈降後、抗BRI2あるいは抗BRI3抗体によるウエスタンブロットを行った。その結果、DN-Cul2あるいはDN-Cul4Aの導入によりユビキチンリガーゼ活性が減弱した。逆にCul2あるいはCul4Aを過剰発現させた場合のみ、同活性の増強が見られた。2) 神経系細胞F11において見られた、siRNAによるNRBP1のknockdownによるBRI2ならびにBRI3の安定化、Aβ産生の抑制の検証を行った。siRNA抵抗性NRBP1をsiRNAと共に導入にしたところ、このBRI2/BRI3安定化ならびにAβ産生抑制が解除された。この成果は、Cell Reports に掲載された。3)NRBP1とBRI2/BRI3間の相互作用を阻害する化合物のスクリーニング系の構築NRBP1の後半部分とLgBiT、BRI2/BRI3とSmBiTを融合させた場合の組み合わせで強い発光を得られたが、ハイスループットのスクリーニング系に用いるにはS/B比がまだ低いと考えられた。そこで、分泌型Gaussia luciferase (Gluc)によるsplit-luciferase complementation法 を用いた系を構築し5倍のS/B比を得ることが出来た。現在、この系を用いて理化学研究所の創薬・医療技術基盤プログラム(理研DMP)支援の下、共同で同化合物のスクリーニングを進めている。
2: おおむね順調に進展している
NRBP1とBRI2/BRI3との相互作用を阻害する化合物のスクリーニング系の構築が完了し、同化合物探索のテーマが理化学研究所の創薬・医療技術基盤プログラム(利権DMP)に採択され、共同でスクリーニングも開始し出来ているので、本研究は、順調に進んでいると考えられる。
1)一次ヒット化合物の二次評価濃度依存性試験と非特異的ヒットを排除するための全長Glucを用いたカウンターアッセイを行う。2)高次評価得られた二次ヒット化合物についてNRBP1-ユビキチンリガーゼのBRI2/BRI3のユビキチン化の阻害、②NRBP1とBRI2/BRI3間の結合の阻害、③神経系細胞においてAβの産生および凝集の抑制、について濃度依存性試験等の解析を行う。①から③の条件を満たす化合物を真のヒット化合物と認定する。
すべて 2020 2019 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 備考 (2件) 産業財産権 (1件)
Cell Reports
巻: 30 ページ: 3478-3491
10.1016/j.celrep.2020.02.059.
http://www.kochi-ms.ac.jp/html/gakubu/fg_chmst.html
http://www.kochi-ms.ac.jp/html/news/2019/functionalgenomics2019-1.html