研究実績の概要 |
心不全患者には洞不全症候群および心房細動などのリズム異常を合併することが多い。そのメカニズムとして、洞結節細胞の線維化およびリモデリングの関与が推測される。しかし、いまだそのメカニズムの詳細は解明されていない。我々はこれを解明する目的で、今年度において、まず①実臨床における心不全患者と心房細動の関係、②心房筋の線維化および心房細動の発生においてヒスタミンレセプターの関与、についてそれぞれ検討を行った。このうち、①心不全患者と心房細動の関係について2019年3月に開催された第83回日本循環器学会学術集会(横浜)で発表した。この発表演題は、高齢化の進む本邦での医療現場では慢性心不全患者に心房細動を併発するケースが多く、その治療においてカテーテルアブレーション治療が効果的である可能性を報告した。 ①Fukui A, Shinohara T, et al. Catheter Ablation of Atrial Fibrillation Reduces Heart Failure Re-hospitalization in Heart Failure with Preserved Ejection Fraction (HFpEF) Patients さらに、糖尿病マウスを用いて洞結節細胞の線維化に伴う洞結節機能障害にインターロイキン10が関与していることを報告した。このことは、今後心不全に伴う洞結節機能障害の進展を抑制する方法の開発につなげていくことができる。 Kondo H, Shinohara T,et al. Interleukin-10 treatment attenuates sinus node dysfunction caused by streptozotocin-induced hyperglycaemia in mice. Cardiovasc Res. 2019;115:57-70.
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