研究実績の概要 |
心不全患者には洞不全症候群および心房細動などのリズム異常を合併することが多い。そのメカニズムとして、洞結節細胞の線維化およびリモデリングの関与が推測されている。しかし、いまだそのメカニズムの詳細は解明されていない。一方、心房細動の原因の一つとして、心房心筋の線維化が関与していることが報告されており、広く受け入れられている。心不全患者では線維化が進行することで心房細動が起こり、さらに心房細動が心房収縮力の低下などから心不全を引き起こすという悪循環が生じており、一度これを解除することで予後の改善が期待できると想定した。我々はこのことを証明する目的で、①実臨床における心不全合併心房細動患者に対してカテーテルアブレーション治療を行った際の予後改善効果について検討を行った。この結果は、心不全合併心房細動患者に対するカテーテルアブレーションは再入院を抑制できることを示した。高齢化の進む本邦での医療現場では慢性心不全患者に心房細動を併発し、再入院が繰り返されているケースが多く、その治療においてカテーテルアブレーション治療が効果的であることを示すことができた。 このことを我々は、下記の論文に報告した。 Fukui A, Shinohara T, et al.Catheter ablation of atrial fibrillation reduces heart failure rehospitalization in patients with heart failure with preserved ejection fraction.J Cardiovasc Electrophysiol. 2020 Mar;31(3):682-688.
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