研究課題
基盤研究(C)
哺乳動物の臓器のなかで特に高い再生能力をもつことの知られるのは肝臓である。この肝細胞の驚異的な再生機構については、細胞レベルで不明な点が多い。そこで、本研究では細胞容積増大過程で働くTRPの活性化分子機構と、肝臓組織における役割の解明、さらに肝臓障害からの再生機構の解明を目的とした。本研究課題で、細胞株や発現系細胞を用いて詳細な細胞増殖、細胞生存率、細胞増大機構を探り、さらに肝組織を単離し、個々の細胞においてTRPとその周辺分子を含めた活性化分子機構の探索と新しく開発した技術で生体内でのin situ細胞容積測定を行うことで肝細胞再生機構にTRPが関与することを明らかにした。
細胞生理学
肝硬変、肝がんの患者数は日本で推定11万人が罹患しているといわれている(厚生労働省健康局資料, WHO2008)。肝炎ウイルス感染やアルコール多飲、脂肪沈着などが引き起こす肝硬変は、肝臓病が多い国民の健康を害する大きな要因の一つであるが、有効な治療法がない。そのために、本研究結果は肝細胞における細胞容積増大にTRPの活性化分子機構を解明したことで、これらの有効な再生を促す治療法の開発へ重要な基盤情報を与え、その発展に寄与することが期待される。