本研究課題は、内分泌細胞の生理機能発現におけるTASK1チャネルの分子基盤の解明を最終目的とし、内分泌細胞のホルモン分泌機構におけるTASK1チャネルの機能およびその生理的意義を詳細に解明することを目的とする。昨年度までに、TASK1チャネルの機能調節機構に、p11タンパク質による細胞膜局在制御も重要な役割を関与することを示唆した。 今年度は、TASK1チャネル細胞膜局在制御の分子機構をさらに詳細に解析した。 副腎髄質細胞由来PC12細胞において、通常培養では、p11タンパク質の発現はほとんど認められず、一方、神経成長因子NGFで分化刺激するとp11タンパク質の発現上昇が認められた。それら(NGF有無)細胞でのTASK1チャネルの細胞内局在を観察した結果、通常培養のPC12細胞では、ほとんどが細胞膜局在を示し、NGF刺激したPC12細胞では、ほとんどが細胞質(ER近傍)局在を示した。さらに、通常培養のPC12細胞にmyc tag-p11タンパク質を一過性に発現させた細胞でのTASK1チャネルの細胞内局在を観察したところ、細胞膜から細胞質へと局在の変化が観察された。p11タンパク質の発現量によりTASK1チャネルの細胞内局在が異なることを明らかにした。 以上の結果より、p11タンパク質は、通常、TASK1チャネルをERに留めおき、細胞外刺激に伴い、解離することでTASK1チャネルを細胞膜へと移行させていることが示唆された。
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