研究課題/領域番号 |
18K06867
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
西谷 友重 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (50393244)
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研究分担者 |
中川 修 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (40283593) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 血管形成 / カルシウムシグナル / イオンチャネル / Tmem100 |
研究実績の概要 |
血管形成は、胎生期の臓器形成や生後の創傷治癒などに不可欠の過程であり、その異常は胎生致死や癌などの原因となることから制御機構の解明は必須である。 血管形成機構に関しては、これまで転写因子活性化シグナルの解明に焦点が絞られてきたが、近年、様々なシグナル伝達のキー因子であるである細胞内カルシウ ム(Ca2+)の重要性が示唆されている。例えば、増殖因子刺激により細胞内Ca2+濃度の増減が生じ、生じた細胞のみ血管新生が亢進すること、また血流(shear stress)により メカノセンサーが活性化され細胞内Ca2+濃度が上昇することが報告されており、これらは胎児期心臓拍動開始により血管新生が爆発的に進む機構 の1つである可能性を示唆している。しかし、(1) 血管新生を導く経路にどのメカノセンサーや関連因子が関与しCa2+シグナルが惹起されるのか、その分子実体およびシグナル経路は明らかでない。一方、申請者らの研究グループは心血管形成に必須の膜タンパク質としてTmem100を同定し、その機能にCa2+シグナルが 関与することを見出したが、どのようなシグナル経路にTmem100が関与して血管形成に寄与しているのか分子機構は不明である。本研究ではTmem100とカルシウム シグナルの関連性に着目し、新規血管形成シグナルを明らかにすることを目的とする。これらが明らかになれば、薬物開発の新たなターゲット探索にも結びつき、ヒト疾患の病因解明・治療法の開発に向けた基礎研究として現代社会に大いに役立つことが期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請者らの研究グループは、これまで、欠損すると心血管形成異常を起こし胎生死させる機能不明の膜タンパク質としてTrans membrane Protein100(Tmem100)を 同定し、その機能発現に細胞内Ca2+シグナルが関与することを見出している。一方、血管形成にはメカノセンサー等を介したカルシウムシグナルの重要性が示唆されているが、その候補としてCa2+透過チャネルであるTRPチャネルが示唆されている。近年、TRPV1/TRPA1とTmem100が結合し、痛み受容を調節していることが報告された。すなわちTmem100はある種のTRPチャネルと直接結合することから、内皮機能に重要な役割を担うTRPV4とTmem100との関連を調べた結果、両者が物理的に結合し、さらに血管内皮細胞にて共局在することを明らかにした。一方、血管平滑筋に重要な役割を担うことが知られているTRPC6はTmem100と結合しないことがわかった。 一方、Tmem100がTRPV4の機能を調節するかについて、TRPV4活性化によるCa2+トランジエントおよびイオン電流をパッチクランプ法により測定し、Tmem100有無でその大きさが変化するか検討を行っている。現在までに、HEK293細胞にTRPV4を永久的に発現させた細胞を作製し、リガンドである4-alpha-PDD添加によりTRPV4を活性化し、TRPV4電流および細胞内Ca2+トランジエントを測定できている。 またTRPチャネルに限らず、Tmem100結合因子を同定するため、HA標識Tmem100を血管内皮細胞に高発現し、抗HA抗体結合セファロースにより免疫沈降を行った結果、現在、いくつかの候補因子が検出されている。
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今後の研究の推進方策 |
TRPV4チャネルに関し、Tmem100の有無がチャネル活性に影響するかイオン電流並びに細胞内Ca2+レベル を測定して、Tmem100がTRPチャネルの機能発現に重要かを明らかにする。 さらに、それ以外のTmem100結合因子を同定するため、現在までに検出されている候補タンパク質に対し質量分析にてプロテオーム解析を行う予定である。 また、TRPV4およびTmem100の結合領域を決定し、類似配列を持つチャネルを標的因子の候補とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年4月より別の部署への移籍が決定したため、実験よりデータ解析に時間を使ったため物品費が予定より少なくなった。さらに2020年1月より現在の所属に移籍し、教育活動ならびに研究のセットアップに時間を要し、実験そのものよりは実験計画のための準備に時間を費やし、物品購入を行わなかったため。
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