研究課題
血管形成は、胎生期の臓器形成や生後の創傷治癒などに不可欠の過程であり、その異常は胎生致死や癌などの原因となることから制御機構の解明は必須である。血管形成機構に関しては、これまで転写因子活性化シグナルの解明に焦点が絞られてきたが、近年、様々なシグナル伝達のキー因子であるである細胞内カルシウム(Ca2+)の重要性が示唆されている。例えば血流(shear stress)により メカノセンサーが活性化され細胞内Ca2+濃度が上昇することが報告されている。一方、申請者らの研究グループは心血管形成に必須の膜タンパク質としてTmem100を同定し、その機能にCa2+シグナルが関与することを見出した。そこで本研究ではTmem100とCa2+シグナル調節因子との関連を検討し、新規血管形成機構を明らかにすることを目的とした。特に令和3年度は、メカノセンサーとして機能することが報告されているTRPチャネルとTmem100との直節結合による内皮機能調節への可能性について検討を行った。その結果、内皮機能に重要な役割を担うTRPV4はTmem100と物理的に結合し、血管内皮細胞において共局在するが、血管平滑筋に重要な役割を担うTRPC6はTmem100とは結合しないことがわかった。現在、Tmem100がTRPV4の機能を調節するかについて、電気生理学的方法および細胞内Ca2+動態を測定することにより検討中である。一方、低酸素暴露により血管内皮細胞内のCa2+レベルが上昇すること、また血管形成が影響されることが報告されている。血管形成はBMP9/10刺激により調節され、その下流にはTmem100も存在する。そこで今回、低酸素刺激によるBMP9下流因子の発現について検討を行った。その結果、血管形成を大きく調節するALK1シグナルに関する多くの遺伝子が低酸素暴露により影響を受けることが明らかとなった。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
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