研究課題/領域番号 |
18K06869
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
竹内 綾子 福井大学, 学術研究院医学系部門, 准教授 (00378704)
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研究分担者 |
嶋吉 隆夫 九州大学, 情報基盤研究開発センター, 准教授 (60373510)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 心室筋細胞 / ミトコンドリア / トランスポータ |
研究実績の概要 |
ミトコンドリアパッチクランプ法を確立し、マウス心筋ミトコンドリアNa-Ca交換輸送体電流の測定に成功した。ミトコンドリアNa-Ca交換は起電性であり、ミトコンドリア外Naとミトコンドリア内Caの交換(順方向)におけるストイキオメトリーは、>=3Na:1Caであった。また、阻害剤感受性(CGP-37157)や、LiもCaの共役イオンとなることなど、これまで生化学的手法により報告されてきたミトコンドリアNa-Ca交換輸送体の特性を、電気生理学的に評価することができた。一方、ミトコンドリア外Caとミトコンドリア内Naの交換(逆方向)電流の測定は困難であった。 マルチモードプレートリーダーを用いた蛍光測定により、ミトコンドリアCa動態評価系を確立した。ミトコンドリア外Ca(Calcium Green 5N)を評価することにより、順方向のミトコンドリアNa-Ca交換、Li-Ca交換を検出できた。また、いずれもCGP-37157によって阻害された。一方、ミトコンドリア内Ca(Fluo-8)を評価することにより、CGP-37157感受性の逆方向ミトコンドリアNa-Ca交換を検出できた。しかし、その速度は極めて遅いため、電流測定が困難であったと考えられた。 数理モデル上で細胞内オルガネラおよび分子の局在・機能的不均一性を考慮できるよう、新たにイオンの拡散というパラメータを導入する。このために、まずは簡易モデルを作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ミトコンドリアトランスポータ電流の測定系やミトコンドリアCa動態評価系を確立できたことから、おおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度は、令和元年度に引き続き、ミトコンドリアNa-Ca交換の機能特性について解析を進めるとともに、超解像顕微鏡解析・共焦点レーザー顕微鏡解析によって、ミトコンドリアならびに細胞質Ca動態にかかわる分子・機能の細胞内不均一性の評価を行う。これらをもとに、オルガネラ間のCa拡散を考慮できるよう、心室筋細胞数理モデルを更新する。モデル予測-実験検証を繰り返し、ミトコンドリア機能の不均一性が心室筋細胞機能にどう関わるかを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
第97回日本生理学会大会(令和2年3月)での研究成果発表のために、福井-大分間の旅費を計上していた。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大のために、本大会は集会中止となり、誌上開催となった。また、研究打ち合わせのために博多-福井間の旅費を計上していたが、スカイプやメールでの対応となった。さらに、電気生理学的解析で得られた疑問点を解決するために、新たにプレートリーダーを用いたCa動態解析を確立し、データ取得を行ったため、超解像顕微鏡解析・共焦点レーザー顕微鏡解析を次年度に行うこととした。そのため、次年度使用額が生じた。 令和2年度は、超解像顕微鏡解析・共焦点レーザー顕微鏡解析を行うこととし、当初の計画より多くの試薬・消耗品を計上する予定である。
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