単離ミトコンドリアを用いた免疫蛍光染色法を確立した。NCX1やLetm1はミトコンドリア上に均一に存在するのに対し、NCLXはミトコンドリア上の一部に局在していた。また、単離ミトコンドリアには高確率で筋小胞体が付着しており、NCLXは筋小胞体SERCA2の極めて近傍に局在していた。 マルチモードプレートリーダーを用いたミトコンドリア外Ca(Calcium Green 5N)の蛍光測定により、順方向のミトコンドリアNa-Ca交換(ミトコンドリアからのCa排出)がK濃度依存性であることを発見した。 蛍光色素TMRMを用いて、蛍光顕微鏡(ニコンEclipse)および共焦点レーザー顕微鏡(オリンパスFV1200)により、マウスから単離した心室筋細胞のミトコンドリア膜電位を評価した。TMRMは以前用いたTMREに比べて非特異的反応が少ないという利点をもつ。その結果、細胞の端ではTMRMの輝度が低い(ミトコンドリア膜電位が浅い)という不均一性を検出できた。また、脱共役剤FCCPを添加すると、細胞の端に比べて細胞の中央付近のミトコンドリアの脱分極速度がより速い傾向にあった。心室筋細胞内のミトコンドリアの位置によってNCLXの局在が不均一であることが関与すると考えられた。 既に構築した心室筋細胞数理モデルのミトコンドリアおよび細胞膜に新たにH動態を導入し、上記実験で得られたFCCPに対する細胞応答を再現できるよう調整した。
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