研究課題/領域番号 |
18K06871
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
尾松 万里子 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (80161397)
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研究分担者 |
森 雅樹 滋賀医科大学, 神経難病研究センター, 特任准教授 (10602625)
星野 真介 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (70747576)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 心筋前駆細胞 / 非定型心筋細胞 / 多核形成 / 細胞融合 / 核分裂 |
研究実績の概要 |
心臓を構成する細胞には心筋細胞以外にも種々の細胞が含まれる。申請者らは,マウスの心臓を酵素処理して得られた細胞群の中に拍動する新規の細胞を見出し,「非定型心筋細胞(Atypically-shaped cardiomyocytes, ACMs)」と命名した。この細胞の機能解析を進めてきた結果,ACMsは,心室筋,心房筋および洞房結節細胞の特徴を併せ持つ心筋前駆細胞の一種として,胎生期心筋の特徴を維持しながら終生にわたって心臓に存在することが明らかになった。しかし,ACMsの多くは三核以上の多核であり,不規則あるいは不完全な核分裂により複数組の核クラスタ-を形成するなど,心筋細胞とは異なる特徴も示す。本研究では,ACMsが通常の心筋細胞と比べて明らかに多くの核を形成することに着目し,多核形成のメカニズムとその調節機構を明らかにすることを目的としている。 2019年度は,ACMsの多核形成に細胞融合がどのように関与しているかについて,核に蛍光を発するFucci2トランスジェニックマウスを用いて検討した。Fucci2トランスジェニックマウスの細胞核は,細胞周期のG1期で増加するCdt1がmCherry,S/G2/M期で増加するGemininがmVenousの蛍光を発し,細胞周期をリアルタイムに観察することができる。Fucci2トランスジェニックマウスと野生型マウスからそれぞれACMsを調製して共培養した結果,1つの拍動細胞の中に異なるマウス由来の核が存在していることがわかった。これらのことから,細胞融合は多核形成の1つの要因であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ACMsが細胞融合を行うことは光学顕微鏡を用いて数時間毎に撮影した画像によって確認していたが,細胞内の核の由来に注目したものではなかった。今回得られた結果により,異なるマウス由来の細胞であっても融合することが確認できたことから,本研究課題の進捗は概ね順調であると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
細胞融合について一定の成果を得られたことから,今後は核膜形成についての実験を行い,多核形成のメカニズムを明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初購入を予定していたトランスジェニックマウスが譲渡してもらえたこと,および2020年3月に予定されていた学会がキャンセルされたことから当初計画より少ない助成金の使用で賄えた。今後,多種類の抗体購入および電子顕微鏡試料作製と画像取得の外部委託を行う予定であり,次年度使用額をあわせて使用する計画である。
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