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2019 年度 実施状況報告書

チャネロパシーによるカルシウム制御破綻とポドサイト機能連関

研究課題

研究課題/領域番号 18K06872
研究機関産業医科大学

研究代表者

森 誠之  産業医科大学, 医学部, 教授 (80342640)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード巣状分節性糸球体硬化症 / TRPC6 / Calmodulin / Ca2+依存的不活性化 / ポドサイト / ストレスファイバー / FRET / ネフローゼ症候群
研究実績の概要

尿蛋白等のネフローゼ症を呈する腎疾患の一つ, 常染色体有性遺伝性巣状分節性糸球体硬化症(focal segmental glomerulosclerosis, FSGS)において受容体作動性Ca(カルシウム)チャネルをコードするTRPC6遺伝子の変異が報告されている。しかしTRPC6チャネル変異とFSGS発症メカニズムの関連には不明な点が多く,詳細な解析が求められている。本年度までにFSGSで確認されたTRPC6変異のうち,コイルド・コイルドメインに変異を認めるものについて,核磁気共鳴(NMR),蛍光エネルギー移動, 電気生理学等を用いた分子構造並びに機能的解析を実施した。K874X,Q889K,R895C,R895L,E897K何れの変異体において, コイルド・コイルドメインの会合状態の異常と,カルモジュリン(Calmodulin)を介したCa依存的不活性化(CDI)の遅延を認めた。また,腎糸球体上皮細胞(培養型ポドサイト)においてTRPC6のCDIを遅延させることで,アクチンストレスファイバーに形態異常を引き起こすことを確認した。以上の内容を米国腎臓学会誌にて報告した(Polat, Uno et al., 2019, JASN)。更に,他から報告されているアンキリンドメインに変異を認めるP112Q,M132T, TRPチャネル共通のTRPボックス近傍における変異体L780Pについて機能解析を行った。Patch-clamp法を用いて測定したところ,最大電流密度はP112Q,M132Tで野生型と比べ優位に上昇していたが,L780Pでは若干減少していた。一方,ピークからの不活性化過程はP112Q,M132T,L780P何れの変異体において,野生型に比べ優位に遅延していた。これらの結果はコイルド・コイルドメイン同様,アンキリンドメインやTRPボックスのFSGS変異体ではCDIの破綻が存在していること、一方でその破綻の度合いには違いがあることを示唆していた。次年度は引き続き変異体の詳細な解析を進め,FSGSにおけるTRPC6CDIの関与について詳細を明らかにし,FSGSの発症機構の解明に繋げる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

FSGSとTRPC6の関係についてCalmodulinを介したCa2+依存的不活性化(CDI)が関与していることを論文に発表することができた。また、新たな変異体の解析も実施したところ、必ずしも予期していなかったがCDIの遅延(異常)を確認した。この結果は本研究の重要性を担保すると思われたため。

今後の研究の推進方策

予定通りに実験を進めていきたいところであるが、研究代表者の異動や新型コロナの余波を受け、必ずしも研究を進める時間が取れていないことが問題である。最終年になることもあり、目的を集中して研究を実施する。

次年度使用額が生じた理由

理由:新型コロナウイルスの影響を受け、予定していた実験をするための十分な時間が取れなくなったため。
使用計画:次年度初めに、当該年度の後半に実施する予定だったFSGS変異体解析の実験準備(細胞、遺伝子の調整)を行い、それ以後は予定通りに順次使用する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Ryanodine receptor mutations (G4946E and I4790K) differentially responsible for diamide insecticide resistance in diamondback moth, Plutella xylostella L.2020

    • 著者名/発表者名
      Jouraku A, Kuwazaki S, Miyamoto K, Uchiyama M, Kurokawa T, Mori E, Mori MX, Mori Y, Sonoda S.
    • 雑誌名

      Insect Biochem Mol Biol.

      巻: 118 ページ: 103308

    • DOI

      10.1016/j.ibmb.2019.103308

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Contribution of Coiled-Coil Assembly to Ca2+/Calmodulin-Dependent Inactivation of TRPC6 Channel and its Impacts on FSGS-Associated Phenotypes2019

    • 著者名/発表者名
      Polat Onur K.、Uno Masatoshi、Maruyama Terukazu、Tran Ha Nam、Imamura Kayo、Wong Chee Fah、Sakaguchi Reiko、Ariyoshi Mariko、Itsuki Kyohei、Ichikawa Jun、Morii Takashi、Shirakawa Masahiro、Inoue Ryuji、Asanuma Katsuhiko、Reiser Jochen、Tochio Hidehito、Mori Yasuo、Mori Masayuki X.
    • 雑誌名

      Journal of the American Society of Nephrology

      巻: 30 ページ: 1587~1603

    • DOI

      10.1681/ASN.2018070756

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] FSGS関連TRPC6チャネルN末領域変異体におけるCa2+依存的不活性化(CDI)メカニズム破綻の共通性2020

    • 著者名/発表者名
      森誠之、PolatOnur、岡田亮、鈴木彩日、大村紗代、井上隆司
    • 学会等名
      第97回日本生理学会年会

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公開日: 2021-01-27  

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