研究課題
チャネロパシーとはイオンチャネルが原因で病態に関わるものをいう。腎病変の一つである 巣状糸球体硬化症(Focal segmental glomerulosclerosis:FSGS)の発症メカニズムにおいてTRPC6チャネルについて研究を行った。TRPC6にはCa2+依存的不活性化(Ca2+-dependent inactivation:CDI)と呼ばれる機構があり、これにより強力に不に制御される。今回その分子的基盤を得、CalmodulinのBridge様結合、並びにCoiled-coilドメインの重要性を明らかにした。更にCDIの破綻がポドサイト(腎糸球体上皮細胞)の細胞骨格形成異常につながることを初めて確認した(Polat and Uno et al, 2019, JASN)。最終年度ではFSGSで確認されているTRPC6の変異のうち、新たに日本人患者で同定されたR175Wを中心に解析を行った(山田ら、日本小児腎臓学会雑誌, 2019, 32, p37-42)。このR175Wの変異体を作成しHEK細胞にて発現し電気生理学的に解析すると、顕著な不活性化過程の遅延を認めた。R175は別途グルタミン(Q)に変化したFSGS変異が報告されていた(Nephrol Dial Transplant.,2013 28,p1830-8)。R175Qに関して同様な手法により解析したところ、やはり不活性化の遅延を認めた。しかし、R175Wで観察されるほどの顕著な電流の遅延は確認できなかった。R175QにおけるFSGSの発症年齢は27歳と成人してからであり、R175Wと比べ発症時期が遅い。このことから、TRPC6におけるCDIの破綻がFSGSの原因となるだけでなく、その発症年齢にも関わる可能性を示唆する結果が得られた。
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