研究課題/領域番号 |
18K06875
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
張 影 山口大学, 大学院医学系研究科, 講師 (10711260)
|
研究分担者 |
岸 博子 山口大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (40359899)
森田 知佳 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (70763796)
小林 誠 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (80225515)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 血管病 / 血管平滑筋収縮 / paxillin |
研究実績の概要 |
血管平滑筋の異常収縮である血管攣縮は、心筋梗塞、脳梗塞などの急性発症で重篤な血管病を引き起こし、突然死の主因であり、根本的な治療法が見つかっていない。我々は、血管攣縮の原因分子の探索を行い、細胞膜の構成成分であるスフィンゴミエリンから脱アシル化されてできるスフィンゴシルホスホリルコリン(SPC)を発見した。更に、SPCの下流シグナル経路についても検討し、血管攣縮シグナル『SPC→Fyn→Rhoキナーゼ(ROK)』経路を発見した。しかし、Fynは直接ROKを活性化できないため、Fyn下流の新規シグナル分子を探索したところ、プルダウンアッセイと質量分析計によりFyn下流に存在する新規分子paxillinを発見した。本研究では、細胞、組織、生体レベルで、特にpaxillinノックアウト(KO)マウス作製の実験系を構築してin vivoで新規に発見した細胞接着斑分子であるpaxillinと血管攣縮との関連を全面解明するという研究を行う。 平成30年度は細胞レベルで機能欠失と機能獲得の分子生物学的アプローチおよび組織レベルでpaxillinと血管攣縮との関連について、下記の実験で検討した。 1.遺伝子発現をノックダウンする手法としてshRNA paxillinベクターによって細胞に導入され、恒常的にpaxillin欠損するヒト冠状動脈平滑筋細胞の作成した。更に、SPCによる収縮を抑えるかを調べた。 2.1)で作成した細胞にpaxillin全長およびpaxillin断片N末端とC末端を再発現させて、SPCによる収縮をレスキューされるかを調べた。 3.組織レベルでの、paxillinと血管攣縮への関与を解析するため、paxillin全長およびpaxillin断片N末端とC末端組換えタンパク質を大腸菌の系で発現・精製した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度に予定した研究計画のうち、計画1である細胞レベルで機能欠失と機能獲得の分子生物学的アプローチによりpaxillinと血管異常収縮の関連を検証することで、CRISPR-Cas9ゲノム編集システムにより、paxillin欠損するヒト冠状動脈平滑筋細胞を作成する予定ですが、CRISPR-Cas9ゲノム編集で死んだ細胞が多いので、遺伝子発現をノックダウンする手法としてshRNA paxillinベクターによって細胞に導入され、恒常的にpaxillin欠損するヒト冠状動脈平滑筋細胞も作成した。その後、paxillinをノックアウトした細胞はSPCによる収縮実験を実施した。また、組織レベルでの、paxillinと血管攣縮への関与を解析するため、paxillin全長およびpaxillin断片N末端とC末端組換えタンパク質を大腸菌の系で発現・精製した。以上の事より、本研究はおおむね順調に進行している、と評価する。
|
今後の研究の推進方策 |
研究はおおむね計画通りに進行しており、現在のところ計画の変更の必要はない。引き続き、計画に従って研究を遂行する。今後、Cre-loxPシステムを用いた平滑筋組織特異的paxillin コンディショナルノックアウト(paxillin CKO)マウスの作成およびその平滑筋組織特異的paxillin CKOマウスを用いて、生体レベルでpaxillinが血管攣縮に関与する事の解明を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
試薬や器具類について、キャンペーン期間中の購入により当初予定金額よりも安く購入できたため、差額が生じた。翌年度の研究計画に変更はなく、当該差額分を合わせて、計画的に予定通り実施する。
|