研究課題
血管平滑筋の異常収縮である血管攣縮は、心筋梗塞、脳梗塞などの急性発症で重篤な血管病を引き起こし、突然死の主因であり、根本的な治療法が見つかっていない。我々は新規分子創薬標的探索のため、血管攣縮シグナル『スフィンゴシルホスホリルコリン(SPC)→Fyn→Rhoキナーゼ(ROK)』経路中、プルダウンアッセイと質量分析計によりFyn下流に存在する新規分子paxillinを発見した。本研究では、細胞、組織、生体レベルで細胞接着斑タンパク質paxillinの血管異常収縮に果たす役割を解明することを目的とした。具体的に、下記の実験を実施した。(1)細胞レベルで機能欠失と機能獲得の分子生物学的アプローチによりpaxillinと血管異常収縮の関連を検証した。(2)平滑筋組織特異的paxillin ノックアウトマウスを作成した。(3)平滑筋組織特異的paxillin ノックアウトマウスを用いて、生体レベルでpaxillinが血管異常収縮に関与するかについて、マウスの胸部大動脈、腸間膜動脈、脳底動脈を用いて、マルチワイヤ-ミオグラフシステムで、高カリウム脱分極による正常収縮、また異常収縮因子であるSPCによる異常収縮を検討、比較した。(4)PaxillinはROKの上流分子となるため、paxillinノックアウトしたマウスの血管を用いて、SPC刺激によりROKが活性化されるかについて血管異常収縮を制御することを解明した。
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Journal of Molecular and Cellular Cardiology
巻: 148 ページ: 50~62
10.1016/j.yjmcc.2020.08.013