研究課題
研究内容:本研究では、マウスin vivo心臓の各部位から心筋細胞の膜電位、細胞内Ca2+濃度、サルコメア長を高空間(3nm)・時間(1ms)分解能でリアルタイムに解析すること目指した。得られた知見を心疾患のモデルマウス(拡張型心筋症、肥大型心筋症、異型狭心症)に適用することにより「in vivo心筋興奮収縮連関」の変調をナノスケールで明らかにし、病態を生理学的分子論に基づいて定量化・明確化することを目標として研究を行った。研究の意義と重要性:国内外を問わず、多くの心臓研究は以前として「生物学」を中心的土台として行われており、そのため、心筋細胞内の反応場における分子パラメーターが普遍化・体系化されていない現状があった。難治性心疾患におけるin vivo心筋興奮収縮連関の変化をナノスケールで定量することができれば、心疾患の「超早期」の診断装置を開発することや、ナノ粒子に封じ込めた薬物などを心筋細胞内局所領域に高確度で送り届けて興奮収縮連関や細胞内・細胞間情報伝達機構を調整し、心臓のマクロ機能を正常化させるなど、疾患の重症化を予防するという「心臓ナノ医学」を創生することにつながるという意義がある。研究成果:独自に開発した高空間・時間共焦点顕微鏡システムを使用して、心筋細胞内の収縮装置の分子情報を抽出することにより、心臓拍動の階層原理の一端を解明することに成功した。具体的には生きたマウスの拍動中の心筋細胞内のサルコメア長をナノメータースケールで測定することにより、筋原繊維に含まれる個々のサルコメア長にはバラ付きがあり、筋原繊維の収縮に同調しているサルコメアと同調していないサルコメアが混在することを発見した。本研究では、ナノ計測を利用することにより、サルコメアの同調性が心筋の収縮力を調節しているということを世界で初めて発見した。この研究成果を学会発表し論文を出版した。
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The Journal of General Physiology
巻: 153 ページ: e202012860
10.1085/jgp.202012860