研究課題/領域番号 |
18K06885
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 岳哉 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (10312696)
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研究分担者 |
戸田 法子 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (50375052)
斎藤 将樹 東北大学, 医学系研究科, 助教 (50400271)
野村 亮介 東北大学, 大学病院, 助教 (90400358)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | オートファジー / 抗ガン剤 / 薬物障害 / Rab / SNARE |
研究実績の概要 |
オートファジーは細胞内に侵入した細菌や、蓄積した変性タンパク質などをリソソームに転送し分解することで細胞内恒常性を維持するために必須のプロセスである。オートファジーはER膜等に由来するオートファゴソーム膜形成から開始し、Rab分子群および関連タンパク質(テザリング因子、Rab effector, SNAREsによる膜融合)による膜輸送系の制御により進行する。申請者は抗ガン薬、抗ウィルス薬等がミトコンドリア機能障害により誘発される薬物誘発性致死性心筋症の分子機構の検討過程で,薬物がオートファジーを阻害することを見出した。本研究は薬物誘発性致死性心筋症を発症する薬物のオートファジー阻害の分子機序を詳細に解析し、さらにこの機序に基づく薬物誘発性致死性心筋症の治療法開発の礎を確立することを目的とする。今年度は、薬物誘発性致死性心筋症における薬物によるオートファジー障害における複数のRabエフェクター分子やSNARE分子の遺伝子発現が薬物処理により、有意に低下した。これらの遺伝子発現の低下が相互作用して、オートファジーにおける膜輸送系機能の低下をもたらし、その結果としてオートファジー障害を起こしていると考えられる。さらに上記Rab effector分子の cDNAをクローニングし、過剰発現細胞を作成した。この過剰発現細胞においては、薬物によるオートファジー障害が軽減することが観察された。以上の結果より、抗ガン剤によるオートファジー障害の分子機構は複数の分子機構が提唱されているが、本研究で見出したRab エフェクター分子の発現減弱によるオートファジー関連膜輸送系障害も含まれていることが明らかになった。
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