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2018 年度 実施状況報告書

新規疼痛治療標的分子探索:MOPr-DOPr 制御分子 RTP4 阻害作用の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K06894
研究機関長崎大学

研究代表者

藤田 和歌子  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (30382328)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードRTP4 / Opioid / Heterodimer / モルヒネ鎮痛耐性
研究実績の概要

オピオイド鎮痛薬は慢性疼痛の重要な治療薬であるが、鎮痛耐性発現がその有効利用を困難にしている。2 種類のオピオイド受容体からなる MOPr-DOPr ヘテロ二量体の形成が鎮痛耐性発現に関わるとされているが、その発現機構は未解明である。本研究では、MOPr-DOPr ヘテロ二量体とその制御分子 RTP4 の相互作用およびそれを介する鎮痛耐性形成機構を解明することを目的としている。さらに RTP4 の阻害による鎮痛耐性の改善効果を検証し、新たな治療薬標的を提案する。本研究は、慢性疼痛に対する新規治療薬の開発ならびに臨床応用への基盤構築を目指す。
これまでに、 In vitro オピオイド耐性モデルにおける RTP4 の有無がオピオイド耐性形成へ及ぼす影響の解明に取り組んだ。In vitro オピオイド耐性では、モルヒネ長期処置による Gi 活性化シグナルの減弱を指標に解析し、マウス神経芽細胞腫においてモルヒネの前処置による Gi シグナルの変化に対する RTP4 siRNA の効果を検証した。その結果、siRNAにより有意な変化は認められず、実験系の再検討が必要であることが明らかになった。
さらに次年度に、RTP4 の有無による MOPr-DOPr ヘテロ二量体形成への影響をin vivo で解明するため、RTP4 floxed マウスの繁殖・維持を行なった。これらは、 今後の RTP4 cKO マウスの作成と、in vivo モデルを用いた、 RTP4 のモルヒネ鎮痛耐性形成や末梢神経障害発現へ及ぼす影響を解析するための準備となった。
これらの研究成果に基づき、次年度では主として、in vivo でのRTP4 の有無による MOPr-DOPr ヘテロ二量体形成への影響と、モルヒネ鎮痛耐性形成、末梢神経障害における疼痛発現への影響を解析したい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

特に、In vitro オピオイド耐性モデルにおいて、その他のデータや予測と異なる結果が得られたため、RTP4 の 耐性形成への役割について、当該年度内に結論を出すことが出来なかった。今後、in vitro 実験系の再構築が必要である。
また、RTP4 Floxed マウスは作成・維持・繁殖できることを確認し、精子と受精卵の凍結保存も行なったが、当該マウスにおいて、Cre リコンビナーゼを脳局所に発現させる検討・解析ができず、in vivo での各種検討が次年度に持ち越しとなった。

今後の研究の推進方策

解決する必要のある研究遂行上の課題については、上記の in vitro 実験系の再構築について、用いる siRNA の種類を増やすなど、効果的に siRNA の影響を観察することができるよう改善したい。さらに、Cre リコンビナーゼを発現するアデノ随伴ウイルスを脳局所に導入し、RTP4 Floxed マウスにおいて、RTP4 cKO を行う検討を開始する。

また、データベースの情報より、RTP4 は、マクロファージなどの免疫担当細胞に発現が多いことが明らかとなった。過去の報告から、モルヒネ鎮痛耐性形成や、末梢神経障害での疼痛発現にはミクログリアの関与が示唆されているが、 このことに注目し、ミクログリア細胞株における各種刺激下での RTP4 の発現変動を in vitro で解析し、脳内 RTP4 の役割の解明にも繋げたい。

次年度使用額が生じた理由

RTP4 cKO マウスの作成に遅れが生じたため、Tail flick 装置やCre リコンビナーゼ 発現アデノ随伴ウイルスの購入が次年度に繰り越しとなった。そのほか関連する各種消耗品の購入も次年度に予定されることとなったため。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] マウントサイナイ医科大学(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      マウントサイナイ医科大学
  • [雑誌論文] Regulation of a opioid receptor chaperone protein, RTP4, by morphine.2019

    • 著者名/発表者名
      Wakako Fujita, Mini Yokote, Ivone Gomes, Achla Gupta, Hiroshi Ueda, Lakshmi A. Devi,
    • 雑誌名

      Mol Pharmacol.

      巻: 95 ページ: 11-19

    • DOI

      10.1124/mol.118.112987

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] MOPr-DOPr ヘテロ二量体シャペロンタンパク質 Receptor transporter protein 4 の生理的役割についての検討.2018

    • 著者名/発表者名
      藤田和歌子, Lakshmi Devi.
    • 学会等名
      第138回日本薬学会年会
  • [学会発表] モルヒネ耐性形成機序における Receptor transporter protein 4 および MOPr-DOPr ヘテロ二量体の関与.2018

    • 著者名/発表者名
      横手未仁, 植田弘師, Lakshmi Devi, 藤田和歌子.
    • 学会等名
      第138回日本薬学会年会
  • [学会発表] MOPr-DOPr ヘテロ二量体形成促進機序におけるシャペロン分子 Receptor transporter protein 4 の役割.2018

    • 著者名/発表者名
      横手未仁, 植田弘師, Lakshmi Devi, 藤田和歌子.
    • 学会等名
      第40回日本疼痛学会
  • [学会発表] Role of endogenous chaperone protein RTP4 in opioid receptor heteromer regulation.2018

    • 著者名/発表者名
      Wakako Fujita, Mini Yokote, Hiroshi Ueda, Lakshmi A. Devi.
    • 学会等名
      第40回日本疼痛学会
  • [学会発表] The role of endogenous chaperone protein RTP4 in Opioid Receptor Heteromer Regulation.2018

    • 著者名/発表者名
      Wakako Fujita, Mini Yokote, Hiroshi Ueda, Lakshmi A. Devi.
    • 学会等名
      The 18th World Congress of Basic and Clinical Pharmacology
    • 国際学会
  • [備考] 長崎大学医歯薬学総合研究科フロンティア生命科学分野

    • URL

      http://www.mdp.nagasaki-u.ac.jp/frontier/04_fujita.html

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公開日: 2019-12-27  

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