研究課題/領域番号 |
18K06895
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
米沢 朋 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 准教授 (60515964)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | IRF転写活性 / NFkB転写活性 / 独自ライブラリー / ハイスループットスクリーニング / 自己免疫疾患 |
研究実績の概要 |
自己免疫疾患である多発性硬化症は、現在承認されている有効的な治療薬が、I型インターフェロン製剤および冬虫夏草の成分であり生理活性脂質であるS1PのインバースアゴニストFTY720とその類縁体のみであり、社会的充足率も十分ではない。薬効の高い新規化合物の作出が望まれる。そこで長崎大学独自の海洋微生物ライブラリーを始めとする化合物ライブラリーにより多発性硬化症に薬効を持つ化合物の単離を目指す。また、京都大学から分譲していただいた1万化合物も利用し、新規骨格を持つ薬効を持つ化合物の単離を目指す。新規骨格を保持する化合物を取得できたら、合成最適化を用いて、薬効、細胞へのデリバリーまたは毒性などを変化させ、さらなる有用な治療薬候補の取得を目指す。最終的には、多発性硬化症のマウス病態モデルである実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)を用いて、個体レベルでの概念検証(Proof of Concept)の取得を試みる。初年度は、京都大学10,000化合物からIRF転写活性を促進する1次スクリーニングから得た化合物に関して、濃度依存性を確認した。残念ながら、濃度依存性を示したものは0個だった。ライブラリーを変えて現在、スクリーニングを実施しているところである。長崎大学の合成研究者を中心に合成化合物ライブラリーを240化合物、海洋微生物、真菌や植物由来の抽出物ライブラリー160個を実施する。当初、カウンターアッセイのために用意したNFkB-SEAPでもスクリーニングを実施しており、天然物抽出物から免疫賦活能を保持する抽出物を得ることができ、濃度依存性も確認できた。また、NFkB-SEAP細胞を改良し、エピソーマルベクターによりサイトカイン受容体を恒常的に発現させることによりサイトカインシグナルを特異的に検出する新たな系を樹立した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
京都大学10,000化合物からIRF転写活性を促進する1次スクリーニングから得た化合物に関して、濃度依存性を確認した。残念ながら、濃度依存性を示したものは0個だった。ライブラリーを変えて現在、スクリーニングを実施しているところである。長崎大学の合成研究者を中心に合成化合物ライブラリーを240化合物、海洋微生物、真菌や植物由来の抽出物ライブラリー160個を実施する。当初、カウンターアッセイのために用意したNFkB-SEAPでもスクリーニングを実施しており、天然物抽出物から免疫賦活能を保持する抽出物を得ることができ、濃度依存性も確認できた。また、NFkB-SEAP細胞を改良し、エピソーマルベクターによりサイトカイン受容体を恒常的に発現させることによりサイトカインシグナルを特異的に検出する新たな系を樹立した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、ライブラリーを変え、IRF転写活性を促進する化合物同定を目指す。加えて、NFkB転写活性を指標に転写活性を促進する化合物の取得も目指す。新規アジュバントの作出が期待できる。また、NFkB-SEAP細胞へサイトカイン受容体を導入し、高感度に特異的なサイトカインシグナルを検出することにも成功した。このサイトカインは炎症応答において重要であり、このサイトカインシグナルの阻害剤のスクリーニングに用いることができるか、今後、評価しハイスループットスクリーニングを実施していく予定である。化合物単離後は、EAEをはじめ自己免疫疾患等のマウス病態モデルを用いてProof of Conceptの取得を試みる。
|