研究課題/領域番号 |
18K06896
|
研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
橋本 達夫 横浜市立大学, 医学部, 講師 (20363806)
|
研究分担者 |
古賀 資和 横浜市立大学, 医学部, 助教 (00637233)
増川 太輝 横浜市立大学, 医学部, 助教 (10711898)
田村 功一 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (40285143)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | ドーパ / GPR143 / 心不全 / 肺高血圧 / 腎結石 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ドーパミン前駆体で神経伝達物質と考えられるドーパの腎不全および心不全への関与を明らかにすることである。 腎障害モデルとして、0.2%アデニン食負荷数日後のみに認められる体重減少および炎症マーカー増悪のメカニズムを、ドーパ受容体GPR143遺伝子欠損マウス(GPR143-KO)を用いて解析した。尿pHを測定してみたところ、GPR143-KOの尿pHは低い傾向にあった。尿結石モデルであるグリオキシレート投与をGPR143-KOおよび尿細管特異的GPR143-KOを用いて検討中である。ドーパ受容体であるGPR143は尿pHを制御して腎結石の進展に関与している可能性がある。 心不全モデルとして、助成初年度に作製したドーパ受容体GPR143遺伝子欠損ラットを用いた肺高血圧モデル作成を行った。モノクロタリン誘発肺高血圧および右心不全の程度がGPR143遺伝子欠損ラットで軽い結果を得た。メカニズム解析として肺動脈血管平滑筋細胞の初代培養を行い、GPR143遺伝子欠損ラットで細胞増殖および遊走能の低下傾向を認めている。今後は、フェニレフリン投与、GPR143遺伝子導入によるレスキュー実験などを行うことで、α受容体との相互関係を解析する。ドーパ受容体であるGPR143は肺高血圧増悪のメカニズムに関与している可能性がある。 以上の解析よりドーパ受容体であるGPR143は、腎結石、肺高血圧増悪に寄与している可能性があり、今後これらの病態の制御につながる創薬のターゲットとなる可能性を秘めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
神経伝達物質と考えられるドーパの不全および心不全への関与の有無を検討している。 腎障害モデルとして、アデニン食負荷では、慢性期ではGPR143-KOと野生型に差を認めなかったものの、負荷開始数日において、体重減少、および炎症マーカー遺伝子発現がGPR143-KOでは野生型に比較して増悪していた。メカニズム解析として尿pHを測定したところ、GPR143-KOの尿pHは低い傾向にあった(WT 5.95+-0.08, KO 5.53+-0.11, p<0.05)。尿結石モデルであるglyoxylate投与をGPR143-KOおよび尿細管特異的GPR143-KOを用いて検討中である。GPR143は腎結石の進展に関与している可能性がある。 右心不全モデルとして、モノクロタリン誘発肺高血圧モデルを、ドーパ受容体GPR143遺伝子欠損ラットを用いて行った。肺高血圧の程度がGPR143遺伝子欠損ラットで軽い結果を得た。メカニズム解析として肺動脈血管平滑筋細胞の初代培養を行い、GPR143遺伝子欠損ラットで細胞増殖および遊走能の低下傾向を認めている。今後は、フェニレフリン投与、GPR143遺伝子導入によるレスキュー実験などを行うことで、α受容体との相互関係を解析する。GPR143は肺高血圧増悪のメカニズムに関与している可能性がある。 以上のように、腎障害および心不全について、着々と検討を積み重ねている。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は、神経伝達物質と考えられるドーパの腎不全および心不全への関与を明らかにすることである。 腎障害モデルを検討した結果、GPR143-KOの尿pHが低い可能性を見出した。GPR143は尿の酸塩基平衡を制御している可能性がある。今後、作製した尿細管特異的GPR143-KOも用いて、腎結石モデルを検討する。GPR143は腎結石の進展に関与している可能性がある。 心不全モデルとして、ドーパ受容体GPR143遺伝子欠損ラットを用いた肺高血圧モデルを行い、肺高血圧の程度がGPR143遺伝子欠損ラットで軽い結果を得た。肺動脈血管平滑筋細胞の初代培養では、GPR143遺伝子欠損ラットで細胞増殖および遊走能の低下傾向を認めた。今後は、フェニレフリン投与、GPR143遺伝子導入によるレスキュー実験などで、α受容体との相互関係を解析する。GPR143は肺高血圧増悪のメカニズムに関与している可能性がある。 以上の解析よりGPR143は、尿アルカリ化、肺高血圧増悪に寄与している可能性があり、今後これらの病態の制御につながる創薬のターゲットとなる可能性を秘め ている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
効率的に購入を進めた結果、当初予定していたよりも安価に購入できたため、残が生じた。次年度の計画に変更はなく、予定通り遂行できる。
|