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2019 年度 実施状況報告書

D2-受容体含有中型有棘神経細胞選択的調節によるドパミン関連疾患の病態の機序解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K06902
研究機関星薬科大学

研究代表者

森 友久  星薬科大学, 薬学部, 教授 (40366331)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードD2-受容体含有中型有棘神経細胞 / ドパミンD2-受容体 / 精神依存 / 弁別刺激効果
研究実績の概要

D2-受容体含有中型有棘神経細胞(D2-MSN)を抑制した時に発現する感覚を詳細に検討するため、D2-受容体作動薬である quinpirole の弁別をラットを用いて獲得させ、般化試験を行なった。D2-受容体作動薬である ropinirole および rotigotine は、quinpirole の弁別刺激効果に対して般化した。一方、D1-受容体を刺激し、精神依存を発現する methamphetamine、morphine および apomorphine、D1-受容体作動薬 chlor-APB は quinpirole の弁別刺激効果に対して全く般化を示さなかった。よって、quinpirole の弁別刺激効果発現には、D2-受容体刺激を介していることが確認され、D1-受容体を刺激による感覚とは異なることが明らかとなった。一方、quinpiroleの弁別刺激効果に対する数種幻覚薬の般化試験を行なった結果、TetrahydrocannabinoidおよびSKKF10047といった幻覚薬は、quinpiroleの弁別刺激効果に対して部分般化を示した。よって、D2-MSN の調節は幻覚発現に関与していることが推測された。
D2-受容体含有中型有棘神経細胞における薬理作用を検証するため、D2-受容体に局在するアデノシンA2a-受容体の薬理作用について検証した。その結果、A2a-受容体拮抗薬である istradefyline は非常に強い自発運動促進効果を引き起こし、条件付け場所嗜好性試験において有意な報酬効果を発現した。よって、D2-受容体含有中型有棘神経細胞は特異的な感覚、特に、幻覚に関連する感覚を誘発し、結果として精神依存を引き起こす機序を持っていることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初はDesigner Receptors Exclusively Activated by Designer Drugs (DREADD)によるトランスジェニックマウスを用いて検証することとしていたが、そのデザイナードラッグである、clozapine-N-oxideに選択性が無いこと、特に、clozapineの誘導体であるために、特に注目すべきD2-受容体をはじめとするモノアミン受容体に親和性を持つ危険性があるためにラットのquinpiroleによる薬物弁別試験に注力するとともに、D2-MSNに選択的に存在するA2a-受容体に注目し、現在は istradefyline による薬物弁別の検討を始めている。

今後の研究の推進方策

D2-MSN のみを抑制(D2-受容体を刺激)した時に得られる感覚をistradefyline を用いて弁別させ、般化および拮抗試験により同神経系の調節に伴う特徴的な感覚について検証する。
また、Creマウス等のトランスジェニックマウスを用いた逆耐性に関与する”On cell”の遺伝子発現に対する網羅的解析:D1- および D2-MSN 群を D1-Tomato ならびに D2-Cre マウスを用いて蛍光化された特定脳部位の神経細胞を FACS により分手し、各細胞が有する遺伝子の違いについてマイクロアレイにより網羅的に検証する。
さらに、D2-MSN が、逆耐性形成時に c-fos の活性化を伴う”On cell”となるかを検証する。D2-MSN が ”On cell”となる場合、ウェスタンブロットを用いて、逆耐性形成時の D2-MSN におけるリン酸化タンパク質の変化などを検証する。逆耐性に D2-MSN が関与していない場合、c-Fos-EGFP-LacZ マウスを用いて逆耐性”On cell”となるLacZ(+)/EGFP(-)細胞を分取し、遺伝子発現変動の網羅的解析を行なう。

次年度使用額が生じた理由

コロナウイルス禍に伴い、発注しようとした消耗品などが、年度をまたいでしまい、混乱を招く可能性が高かったため、あえて次年度に繰り越した。

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公開日: 2021-01-27  

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