研究課題
D2-受容体作動薬/拮抗薬のげっ歯類への投与により、著明な鎮静を引き起こしてしまうといった行動薬理学的な特性がD2-受容体刺激以降のシグナル伝達の機序 の解明を妨げてきた。こうした問題を解決すべく、 D2- 受容体作動薬である quinpirole の摂取感覚効果について検討した。その結果、ドパミン神経系を活性化するapomorphine、methamphetamine あるいは morphine等といった幻覚誘発薬も般化を示さず、D2-受容体含有中型神経細胞をA2A-あるいはdelta-受容体調節により抑制的調節をしても般化は認められなかった。興味深いことに、ドパミン D1 受容体拮抗薬である SCH23390 および GABAB 受容体作動薬である baclofen が完全 な般化を示した。以上の結果より、ドパミン D2 受容体ならびに D1 受容体調節は、相反する感覚あるいは脳内神経活動を引き起こし、また、GABAB 受容体刺激 は、ドパミン D2 受容体刺激様の摂取感覚を再現出来ることが示された。また、これらの効果の機序を詳細に検討するために、逆耐性現象について検討を加えた。その結果、D2-受容体含有中型有棘神経細胞を抑制するdelta-作動薬で あるSNC80ならびにA2A-受容体拮抗薬であるinstradefylineとmethamphetamineによる逆耐性の形成において不完全な交差逆耐性が認められ、さらにはA2A-受容体の発現上昇も観察された。よって、精神疾患において、D2-受容体含有中型有棘神経細胞における神経の過疎的変化が関わっていることが示唆された。
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Pharmacology Biochemistry and Behavior
巻: 213 ページ: 173314~173314
10.1016/j.pbb.2021.173314