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2019 年度 実施状況報告書

家族性パーキンソン病PARK7原因遺伝子産物への作用化合物の薬理学的創薬研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K06904
研究機関立命館大学

研究代表者

北村 佳久  立命館大学, 薬学部, 教授 (60195295)

研究分担者 肱岡 雅宣  立命館大学, 薬学部, 助教 (50780061)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードDJ-1 / DJ-1結合化合物 / α-シヌクレイン / ミクログリア / 神経細胞
研究実績の概要

日本において現在、少子高齢化が社会問題になりつつある。加齢によって発症頻度が高くなることが知られている神経変性疾患として、難治性運動機能障害のパーキンソン病、およびアルツハイマー病とは異なる認知症のレビー小体病などがある。パーキンソン病およびレビー小体病などのシヌクレイノパチーの患者において、α-シヌクレインは脳内に凝集・沈着することが報告されている主要なタンパク質である。神経細胞内のα-シヌクレイン凝集に関して、昨年度構築したヒト神経芽細胞腫SH-SY5Y細胞におけるα-シヌクレインの凝集を呈する評価系を用いて、プロファイルを解析した。ヒトSNCA遺伝子を安定的に過剰発現したSH-SY5Y細胞に対してα-シヌクレインのpre-formed fibrils(PFFs)を処置することで細胞内にα-シヌクレインの凝集が誘導されるが、このとき形成された凝集体はチオフラビンT陽性のβ-シート構造を有する凝集体であり、また抗リン酸化α-シヌクレイン抗体陽性であることが判明した。また、α-シヌクレインは神経細胞から放出されたのち、ミクログリアによって取り込まれることが報告されている。マウスミクログリア細胞株BV-2細胞は細胞外に処置したところ、PFFsを細胞内に取り込んだ。取り込んだα-シヌクレインを定量化したところ、処置後2時間をピークとして徐々に減少する結果が得られた。このことから、ミクログリアはα-シヌクレインの取り込み後に分解を行うことが示唆された。また、昨年度着手したマウス脳内にPFFsを投与し、凝集・伝播を呈するモデルマウスの作成に関してα-シヌクレインの凝集・伝播など、投与条件や評価方法を検討中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

In vitroの評価系において、評価系のプロファイルを解析することに時間を要したが、確立できた。In vivoのモデルに関しては、脳内でα-シヌクレインの凝集が観察されるまでにPFFsの投与から6ヶ月を要するため現在、実験条件を検討中である。

今後の研究の推進方策

2年目までに確立したプロファイルを解析した評価系を用いてDJ-1結合化合物の薬理作用を評価する。神経細胞に対する作用として、ヒトSNCA遺伝子を高発現したSH-SY5Y細胞対してPFFsを処置した際の細胞内α-シヌクレインの凝集形成に対するDJ-1結合化合物の作用を解析する。ミクログリアに対する作用として、マウスミクログリア細胞株BV-2細胞に対してPFFsを処置することで細胞内へα-シヌクレインが取り込まれる。これに対してDJ-1結合化合物が促進作用を持つか調べる。さらに、マウス脳内でα-シヌクレイン凝集体が形成される条件を確立し、これに対してDJ-1結合化合物が抑制作用を示すか調べる。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2020 2019 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) 図書 (2件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Peripheral blood-derived microglia-like cells decrease amyloid-β burden and ameliorate cognitive impairment in a mouse model of Alzheimer’s disease.2020

    • 著者名/発表者名
      Kuroda E., Takata K., Nishimura K., Oka H., Sueyoshi M., Aitani M., Kouda A., Satake S., Shima C., Toda Y., Nakata S., Kitamura Y., and Ashihara E.
    • 雑誌名

      J. Alzheimers Dis.

      巻: 73 (1) ページ: 413-429

    • DOI

      10.3233/JAD-190974

    • 査読あり
  • [学会発表] LXA4受容体刺激は脳内出血モデルマウスの運動機能障害を軽減する.2020

    • 著者名/発表者名
      懐理紗, 肱岡雅宣, 北村佳久.
    • 学会等名
      第93回 日本薬理学会年会
  • [学会発表] ヒト神経芽細胞腫SH-SY5Y細胞におけるα-シヌクレイン凝集に対するガランタミンの作用.2020

    • 著者名/発表者名
      野崎空, 肱岡雅宣, 辻尚仁, 北村佳久.
    • 学会等名
      日本薬学会 第140年会
  • [学会発表] 脳内出血病態形成過程におけるロイコトリエンB4の機能解析.2019

    • 著者名/発表者名
      肱岡雅宣, 懐理紗, 香月博志, 北村佳久.
    • 学会等名
      第135回日本薬理学会近畿部会
  • [学会発表] Analysis of the functions of leukotriene B4 and lipoxin A4 to the neutrophil invasion into hematoma in vitro model of intracerebral hemorrhage.2019

    • 著者名/発表者名
      Hijioka M., Futokoro R. and Kitamura Y.
    • 学会等名
      Neuro2019 第42回 日本神経科学大会
  • [学会発表] MEK阻害薬によるプラナリアの個体再生およびドパミン神経再生の抑制.2019

    • 著者名/発表者名
      深尾昂佑, 肱岡雅宣, 小早川達貴, 池本有佑, 北村佳久.
    • 学会等名
      第69回日本薬学会関西支部大会
  • [図書] 認知症plus予防教育2020

    • 著者名/発表者名
      肱岡雅宣, 天ヶ瀬紀久子, 北村佳久.
    • 総ページ数
      216
    • 出版者
      日本看護協会出版会
    • ISBN
      978-4-8180-2248-5
  • [図書] 臨床薬学テキストシリーズ第5巻[薬理・病態・薬物治療]『神経・筋・精神/麻酔・鎮痛』2019

    • 著者名/発表者名
      北村佳久, 肱岡雅宣, 髙橋良輔.
    • 総ページ数
      372
    • 出版者
      中山書店
    • ISBN
      978-4-521-74451-74451-3
  • [備考] 教員紹介

    • URL

      http://www.ritsumei.ac.jp/ph/educators/detail.html/?id=27

  • [備考] 研究概要・研究業績

    • URL

      http://research-db.ritsumei.ac.jp/Profiles/118/0011784/profile.html

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公開日: 2021-01-27  

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