研究課題/領域番号 |
18K06905
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
高橋 英夫 近畿大学, 医学部, 教授 (60335627)
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研究分担者 |
西堀 正洋 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (50135943)
山崎 由衣 近畿大学, 医学部, 助教 (50761970) [辞退]
西中 崇 近畿大学, 医学部, 助教 (50786184)
丹羽 淳子 近畿大学, 医学部, 講師 (60122082)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | マクロファージ / 血管新生 / HMGB1 / 脳組織ニッチ / 造血幹細胞ニッチ |
研究実績の概要 |
本申請研究の令和元年(31年度)の結果、1)M2 polarization と血管新生機序の解明---マイクロプレート上のマトリゲルに播種したマウス由来血管内皮細胞株b.End5による細胞培養系血管新生モデルを作成して、HMGB1リコンビナント体単独で刺激して、管腔形成を解析したが非刺激群と変化が見られなかった。マクロファージと共存環境でもHMGB1の有無にかかわらず管腔形成に変化が見られなかった。これまでの知見をもとにTh2サイトカインと共刺激をしたところ、マクロファージと共存環境で管腔形成の傾向が見られた。今後条件を変えてさらに検討を続ける。90%達成した。2)HMGB1との比較研究として、その膜上受容体を共有するリガンドであるadvanced glycation end products(AGEs)による b.End5の管腔形成を解析したところ、管腔形成が誘導された。この血管新生の機序に複数のscavenger receptorを介するAGEsのuptakeが確認できた。これをコントロールできる部分作用薬や緩衝薬の検討ができた。論文として報告できた。100%達成した。3)脳組織ニッチ機能活性化機序の解明---VE 群(6 週齢から回転装置付ケージ飼育)生存例で、脳卒中発症前後の血中好中球、血小板数を計数器、組織中因子などの解析をした。脳卒中発症4週前ぐらいから大型血小板数の著明な増加が見られた。本モデルの場合障害発生は、病態進行に対する血小板による相補相殺効果の相対的低下と考えられた。論文投稿準備中。100%達成した。4)造血幹細胞ニッチ機能活性化機序の解明---VE 群におけるニッチ増殖因子としてCXCL12、SDFの発現を確認できた。論文投稿準備中。100%達成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
血管新生創薬研究について---ニッチの微小環境としてMΦや血管内皮細胞が重要であるが未知の部分が多い。血管内皮細胞増殖のメカニズムについては膜抗原刺激やエンドサイートシスが重要であるが、さらにシグナルについても発見があった。このまた、血管新生創薬研究のためには標的因子を特定しなければならないが、部分作用薬として硫酸多糖類や緩衝薬としてHRGの作用を確認できた。硫酸多糖類の効果の比較検討を行い、論文報告できた。HMGB1受容体を共有するリガンドについても血管新生機序の解析をして、論文投稿準備中となった。以上については、おおむね順調に進展している。 一方で、当初の計画より進展していないのは以下の通り。HMGB1やHRGのリコンビナント体の供与が遅れていて、血管新生機序の解明研究の予定が遅れている。モデル動物SHRSPの飼育状況不良のため供与が遅れていて、ニッチ機能解明研究の予定が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
血管新生創薬研究について--- MΦの分化や血管内皮細胞増殖のメカニズムについては検討が進んでいるので、本年度中に引き続き論文報告する予定である。硫酸多糖類の効果の比較検討を行い、31年度中に続報の論文報告する予定である。HMGB1やHRGのリコンビナント体の供与の遅れが見られるので、別のメディエータとして、AGEやIL-33について検証する。いずれも糖尿病やアレルギ疾患で重要な働きをしているタンパク質なので、成果は広く社会に貢献できると考える。ニッチ機能解明研究について---採取済み既存のサンプルでの解析を続ける。現状でも、骨髄幹細胞活性化と脳神経再生の関連研究は注目されていて、本年度中に論文投稿できると考える。慢性経過を観察するという点においてSHRSPほど特殊性はないが、先進性、特異的な研究を継続できると考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
HMGB1やHRGのリコンビナント体の供与が遅れに伴い、実験進行が遅れた。当初の計画以上に進展している研究や別のメディエータ、モデル動物を用いた研究に用いる予定である。
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