近年、ヘルパーT細胞が分化過程で代謝のパターンを変化させるという報告が相次いでいるが、その多くが親水性代謝物を中心とした解析で、脂質代謝物の解析は遅れている。本研究では、T細胞の分化により貯蔵脂質の量や細胞膜の飽和度が大きく変化していることを明らかにした。特に、抑制性T細胞が細胞外の脂肪酸を積極的に取り込んでいることが明らかとなり、食に含まれる脂質の質が抑制性T細胞の細胞膜の脂質組成にそのまま反映されることが想定される。近年、いくつかの炎症性疾患は増加傾向にあり、本研究の成果が食餌の欧米化と炎症性疾患の関連性を解く手がかりとなることが期待される。
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