研究課題/領域番号 |
18K06936
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
金 明月 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (60740404)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 軸索輸送 / Unconventional微小管 / α-synuclein / Tau / 微小管結合タンパク質 |
研究実績の概要 |
我々は神経軸索における微小管ネットワークを解析するため、ラット、イヌ、ブタとヒトの坐骨神経を電子顕微鏡で観察したところ、13本のプロットフィラメント(pfs) 以外にも14-pfsの微小管や特異なフック構造を持つunconventional微小管が確認され、高度な神経機能をもつ大型哺乳類になるにつれて増加する傾向があることを発見した。これらの結果は、従来の13-pfs微小管とは異なる構造を取っているunconventional微小管が哺乳類の高度な神経機能の維持に重要であることを示唆している。そこで、ブタ脳抽出液の微小管結合タンパク質からフック構造を形成する有力な候補としてTau, TPPP1, CRMP2とMAP1のLC2を同定した。これらの微小管結合タンパク質と14-pfsの微小管に優先的に結合するαSynを用いて微小管重合への影響を調べると同時に、unconventional微小管の形成に与える影響を電子顕微鏡で解析した。また、日本ザルの脳抽出液とヒト脳腫瘍組織の抽出液から微小管結合タンパク質を精製、2次元電気泳動で移動パターンを解析し、サルとヒト中枢神経系に特異的に発現している微小管結合タンパク質を同定するためLC-MS/MSで解析を行う予定である。In vivoにおける機能解析を行うため、αSynとTauのダブルノックアウト(double knockout: DKO)マウスを作成して、中枢神経系における微小管結合たんぱく質の生理機能と神経軸索輸送に与える影響を解析する。今までのDKOマウスの解析から、発生初期の神経幹細胞の分裂と神経細胞の遊走に影響を与えていることを発見した。今後は、哺乳類の神経組織におけるunconventional微小管の形成機構と神経の軸索輸送における生理的な役割を明らかにし、神経軸索輸送異常により発症する神経変性疾患の原因究明を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
神経細胞における微小管構造は従来の13本プロトフィラメント(13-pfs)を持つ単純な微小管構造が想定されていたが、我々は家族性パーキンソン病の原因因子であるα-synuclein (αSyn)が14-pfsを持つ微小管の形成に関わり、機能的にも細胞骨格とは異なる細胞内物質輸送に必要な荷台として機能する可動性微小管であることを見出した。また、フック構造の形成にかかわる有力な候補として検出されたTauは、13-pfsと14-pfsの両方の微小管に結合することはすでに報告されている。そこで、αSynとTauが どのようにUnconventional微小管の形成にかかわるかを解明するために、両方の遺伝子を同時にノックアウトさせたdouble knockoutマウスを作成し、現在解析を進めている。その結果、αSynとTauの欠損により発生期の神経幹細胞の分裂・分化と神経細胞の遊走に異常が発生することを発見した。さらに、グリア細胞への分化にも影響を与えることを知り、更なる解析を進めているところである。同時に、日本ザルの脳抽出物から微小管結合タンパク質を精製し、2次元電気泳動後、サルとヒト中枢神経系に特異的に発現する微小管結合タンパク質を同定しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
αSynとTauのdouble knockoutマウスの解析を進めて、微小管結合たんぱく質が脳の形成と軸索輸送に与える影響を解明する。また、サル脳組織とヒト脳腫瘍組織から同定された微小管結合タンパク質を用いて、unconventional微小管形成因子を同定し、in vitroでの微小管重合の促進効果及びunconventional微小管の構築機構を解析する。
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