研究実績の概要 |
我々は、alpha-synucleinが 14本のプロットフィラメント(14-pfs)で形成した微小管に優先的に結合することを報告した。また、ブタ脳抽出液の微小管結合タンパク質からunconventional微小管の構築に関わる因子としてTau, TPPP1, CRMP2とMAP1のLC2を同定した。これらのタンパク質の中、alpha-synucleinとTauが脳への異常蓄積はパーキンソン病(PD)やアルツハイマー病(AD)などの神経変性疾患を引き起こす。しかし、これらの神経変性疾患の発症メカニズムは未だに解明されていなく、alpha-synucleinとTauの生理機能にも不明な点が多い。そこで、我々はin vivoにおける機能解析を行うため、alpha-synucleinとTauを同時に欠損させたダブルノックアウト(double knockout: DKO)マウスを作成し、中枢神経系の構築に与える影響を調べた。その結果、DKOマウスの発生期における神経幹細胞の分裂・分化と新皮質の形成異常を発見した。また、DKOマウスのgliogenesisが抑制されていることも確認できた。DKOマウスの解析を通じて中枢神経系の構築におけるαSynとTauの生理機能が明らかになれば、PDやADを含む神経変性疾患の発症機構の解明や臨床治療法の開発に新しい科学的根拠を提供することになる。
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