研究課題
ダウン症候群 (DS) は最も頻度の高い精神発達遅滞の原因である。ほとんどのDS者は精神遅滞を呈するが,その治療法はなく,分子メカニズムの解明が急務である。我々はこれまでに,DSマウスの胎仔大脳皮質における神経新生低下を明らかにしており,この低下が精神発達遅滞の中心的役割を担っていると考えている。昨年までに,このDSマウスの胎生期神経新生減少が血管内皮細胞に発現する転写因子の3コピー化が原因であることを同定したが,本年度はこの神経新生減少改善による行動異常の改善について検討を行った。記憶学習試験や不安関連行動に関する試験などを行ったが,現在のところ改善される行動異常はない。また,血管内皮細胞における原因遺伝子の発現から,血管の形態に関する検討も行った。少なくとも胎生期脳血管の形態は、DSモデルマウスと野生型マウス間で違いを見いだせなかった。血液脳関門の機能などを踏まえた機能的な変化についても今後は検討を行う予定である。
2: おおむね順調に進展している
予定通り,ダウン症モデルマウスにおける血管形成について,少なくとも形態学的には変化がないことが分かった。
申請書の予定通り,DSモデルマウスの胎生期脳での血液脳関門の発達などを考慮に入れた血管機能の異常の有無について調べることで,DSモデルマウス脳での炎症性細胞数の増加の原因に迫る。
マウス受精卵の凍結費を計上していたが,目的のマウスの繁殖が悪かたため次年度に行うこととしたため。計画に大幅な変更は生じない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件) 備考 (1件)
Brain Pathology
巻: 30 ページ: 75-91
doi: 10.1111/bpa.12758.
日本薬理学雑誌
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http://labo.kyoto-phu.ac.jp/byoutai/byoutai-j.html