1.抗アルツハイマー病因子であるBRI2/BRI3のユビキチン化と分解を制御するNRBP1-ユビキチンリガーゼ複合体(E3)を発見した。要点は、(1)基質認識タンパク質NRBP1がC末領域のLisHモチーフを介して二量体化する、(2)NRBP1のBC-box配列に重複して、Cul4のアダプター分子DDB1の結合配列であるH-box配列が存在する、(3)NRBP1二量体の橋渡しによりCul2/Cul4A型のE3複合体を形成する、(4)TSC22DファミリーメンバーのTSC22D3とTSC22D4の分子シャペロン様機能によりNRBP1の二量体化とCul2及びCul4Aとの会合を促進される、(5)NRBP1の二量体化並びにCul2及びCul4Aとの結合の全てがNRBP1-E3によるBRI2/BRI3の高度のユビキチン化に重要である、等である。 2.NRBP1とBRI2/BRI3間の相互作用に必要な領域について解析した結果、NRBP1のC末端のアミノ酸配列(328-535)とBRI2/BRI3のアミノ酸配列(121-140)及び(191-210)が重要であることが判明した。 3.培養神経系細胞においてNRBP1をknockdownすると、細胞内BRI2/BRI3量の増加と培養上清中のAbeta40、Abeta42レベルの有意な低下が誘導されることが判明した。 4.NRBP1-BRI2間相互作用を阻害する化合物探索のため、分泌型Gaussia luciferase (Gluc)のN末側断片(Gn)とBRI2、C末側断片(Gc)とNRBP1とを連結させて、BRI2-Gn、NRBP1-Gcの2種類の融合体の発現ベクターを作製した。これらを培養細胞で共発現させた際、BRI2とNRBP1が結合できる場合に限り培養上清のGluc活性の回復が認められることが判明し、探索の評価系として有用と考えられた。
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