研究課題
近年、NF-kBを含む生体防御応答の新たな制御因子として、直鎖状ユビキチン鎖が注目を集めている。申請者の所属研究室では、その同定から生体防御応答の制御、炎症性疾患の発症に至る一連の研究を世界に先駆けて報告し、申請者自身も筋萎縮性側索硬化症に対する寄与を明らかにしてきた(Nature Commun. 2016)。本研究においては、LUBACに対する特異的阻害剤を同定し(SLAS Discov. 2018;BBRC. 2019)、その作用機序の詳細を明らかにすると共に、B細胞リンパ腫の増殖や、乾癬病態を抑制することなどを示してきた(Commun Biol. 2020)。今年度、T細胞における抗原受容体(TCR)刺激に伴うNF-kB活性化への直鎖状ユビキチン鎖の寄与について解析を進めた。その結果、TNF-a刺激とは異なり、ヒトT細胞株(Jurkat細胞)をTCR刺激すると、NEMOへの直鎖状ユビキチン鎖の付加はほとんど起こらず、CBM複合体にMALT1、CARMA1、BCL10の順に直鎖状ユビキチン鎖が付加されることを見出した。また、数理シミュレーション解析から、TCR刺激に伴うNF-kB活性化は、TNF-a刺激に伴うNEMOへの直鎖状ユビキチン鎖の付加を介した経路に比べて、より迅速に引き起こされることが示唆された(Front Immunol. 2020)。また、OPTNとともに選択的オートファジーのアダプターとして知られるNDP52が、LUBACと結合しユビキチン結合能依存的にNF-kB活性化を抑制すること、NDP52-KO細胞ではNF-kB活性化やTNF-a誘導性のアポトーシスが亢進する一方、サルモネラ菌の分解(xenophagy)が減弱することを見出した(Front Immunol. 2021)。
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http://osaka-cu-1seika.umin.jp/