研究課題/領域番号 |
18K06971
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
石井 恭正 東海大学, 医学部, 准教授 (20548680)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 転写因子 / 複製ストレス / DNA損傷修復 / 代謝 / クロマチン再構築 |
研究実績の概要 |
我々は老化メカニズムの解明を長期目標とし、老化関連遺伝子の探索・解析を行っている。独自に開発したジーントラップ法により確立した短寿命モデルマウスから、明確な病態を示さずに肥満を呈して短寿命となる原因遺伝子を特定した。当該原因遺伝子は、BTB/POZドメインを有するzinc finger転写抑制因子:ZBTB20(Zinc finger and BTB domain-containing protein 20),HOFをコードし、マウスでは16番染色体16qC1.1-3領域、ヒトでは3番染色体3q13.31領域上に位置する。ヒトでの転写抑制因子ZBTB20の機能欠失は、3番染色体欠失症候群や常染色体劣性遺伝子疾患であるプリムローズ症候群を発症し、早老症に酷似した病態を呈する。そこで、本研究課題では、当該タンパク質機能の肥満および寿命への影響を明らかにすることを目標にしている。当該年度には、初年度に樹立したZBTB20発現抑制ジーントラップモデルマウス胎児細胞株、siRNA手法をもちいたsiZBTB20ノックダウン細胞株、およびレトロウィルスベクターをもちいたZBTB20過剰発現細胞株とプリムローズ症候群モデルZBTB20H596R細胞株をもちいて、ZBTB20発現形態および細胞機能変化の解析を実施した。その結果、それぞれの細胞株において、細胞増殖能・分化能に大きな変化が確認された。また、多数のZBTB20スプライシングバリアントの発現が確認され、それぞれのバリアントにより細胞増殖能・分化能に異なる影響を及ぼしていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の研究成果により、新たにShort formのZBTB20の機能的役割が明らかになった。初年度には予測できなかった結果であり、当初の研究計画では標的にしてはいなかったが、既に、Short formのZBTB20の機能解析を含めた研究計画を立案し、細胞株の樹立に着手できており、最終年度でのZBTB20の機能解析の実施に向けて、順調に準備を整えられている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、既に報告されているZBTB20のスプライシングバリアントLong formとShort formの機能的差異を検証することを目的に、新たにShort formのZBTB20を特異的に過剰発現する細胞株の樹立に尽力している。今後、既に樹立に成功している、ZBTB20発現抑制ジーントラップ3番染色体欠失症候群モデルマウス胎児細胞株、プリムローズ症候群を模した機能欠失型ZBTB20H596R細胞株、siRNA手法をもちいたsiZBTB20ノックダウン細胞株、およびLong form過剰発現細胞株をもちいて、当初の計画通り、明確な病態を示さず肥満を呈して短寿命となるジーントラップモデルマウスの原因遺伝子がコードする転写抑制因子の機能解析を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス対応により、2020年2月12、13日に予定されていたBusan-Nagasaki Joint Symposiumの開催が延期、また2020年2月29日に予定されていた第34回日本酸化ストレス学会関東支部会の開催が中止され、これらの出張旅費予算が施行されなかったことに加え、執筆中の論文受理が成就せず、投稿料の使用が伸びているため。 2020年度において、論文校閲料・投稿料をそのまま計上するとともに、現在使用中のデータ解析・画像解析用デスクトップPCが、導入後10年経過し、老朽化とWindows7搭載のため、セキュリティ保護の面と解析速度向上のために、新規デスクトップPC購入する。令和2(2020)年度科研費支払請求書の科研費使用明細書2020年度分に計上を報告済みである。
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