研究課題
2021年度は、今までの研究成果をまとめて膵β細胞の恒常性維持に必要なCCR4-NOT複合体を介した転写後制御の分子機構を明らかにし、論文として完成させた。2021年度の研究では新たに、CNOT7には結合しないがCNOT8に特異的に結合するRNA結合蛋白質が、CNOT8のC末端と結合することを免疫沈降法により明らかにした。AlphaFoldによるCNOT7とCNOT8のC末端には顕著に異なる三次構造が予測された。すなわち、CNOT7のC末端には特徴的な三次構造が存在しないのに対して、CNOT8のC末端にはαへリックス構造の存在が予測された。このCNOT7とCNOT8のC末端の三次構造の違いが、このRNA結合蛋白質のCNOT8との特異的な結合を決定していると考え、CNOT8のC末端欠損蛋白質とこのRNA結合蛋白質の結合を免疫沈降法により解析したところ、結合は阻害された。さらに、このRNA結合蛋白質はCNOT8が単独に存在している場合よりも、CNOT8がCCR4-NOT複合体に含まれている場合の方がCNOT8とより強く結合していることを免疫沈降法により明らかにした。今までの研究成果を統合して、膵β細胞のインスリン生合成におけるCCR4-NOT複合体による転写後制御の分子機構を明らかにし、論文を科学雑誌に投稿して研究を完了した。本研究成果は、インスリン生合成といった膵β細胞の機能の恒常性維持に必要な転写後制御を標的とした新規糖尿病の治療法開発に繋がる。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
Journal of molecular biology
巻: 434 ページ: 167523-
10.1016/j.jmb.2022.167523
iScience
巻: 24 ページ: 103151
10.1016/j.isci.2021.103151
https://www.oist.jp/ja/news-center/press-releases/36632