研究課題
Glo1遺伝子欠損(遺伝要因)とVB6欠乏(環境要因)を組み合わせ、よりカルボニルストレス性統合失調症の病態に即した新たなモデルマウスを作成した。 実際には、Glo1 KO・WTマウスに、上述のVB6欠乏餌(ビタミンB6含有量5ug/100gペレット)・コントロール餌(ビタミンB6含有量1.4mg/100gペレット)を4週間給餌することにより、下記①から④の4群のマウスモデルを作成する(VB6(+)はコントロール餌、VB6(-)はVB6欠乏餌給餌群を意味する)。①Glo1 WT/VB6(+): コントロール群、②Glo1 WT/VB6(-): VB6欠乏群、③Glo1 KO/VB6(+): Glo1遺伝子欠損群、④Glo1 KO/VB6(-): Glo1遺伝子欠損とVB6欠乏のコンビネーション効果群4週間の給餌後、VB6欠乏餌を給餌されたマウスでは、血漿中のVB6濃度がコントロール餌を給餌されたマウスの3%程度にまで減少していた。また、KO/VB6(+)群、及びWT/VB6(-)群で体重の減少が認められ、KO/VB6(-)群ではさらなる体重の減少が認められた。さらに、一連の行動解析を行った結果、KO/VB6(+)群、及びWT/VB6(-)群では認められなかったプレパルスインヒビション(PPI)の障害が、それらを組み合わせたKO/VB6(-)群で初めて認められることが明らかとなった。さらに、HPLCを用いて、反応性カルボニル化合物のひとつであるメチルグリオキサールの脳内含有量の測定を行ったところ、KO/VB6(-)群においてのみ、前頭皮質、海馬、線条体での蓄積が認められた。
2: おおむね順調に進展している
順調である。本年度に予定していた、マウスモデルの作成、行動学的解析、及びカルボニルストレスの評価を着実に終えた。
来年度以降は計画通り、マウスモデルの脳サンプルを用いた網羅的な遺伝子発現解析を行い、カルボニルストレスにより引き起こされる疾患関連分子メカニズムの解明を行う予定である。
概ね計画通りに使用している。残額は来年度の物品購入に充てる。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
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http://www.igakuken.or.jp/schizo-dep/