研究課題/領域番号 |
18K06977
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49010:病態医化学関連
|
研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
鳥海 和也 公益財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, 主任研究員 (10549421)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | カルボニルストレス / 統合失調症 / メチルグリオキサール / GLO1 / ビタミンB6 / ミトコンドリア / 酸化ストレス / 前頭皮質 |
研究成果の概要 |
メチルグリオキサール(MG)は反応性・毒性の高い物質である。我々はこれまで統合失調症患者において、このMGの解毒酵素であるGLO1の機能障害を有し、またMG除去機能をもつビタミンB6(VB6)濃度が低い一群がいることを報告してきた。本研究では、Glo1ノックアウト(KO)マウスにVB6欠乏餌を与えることで、病態を反映したモデルマウスを作製し、MG解毒機構の障害が脳機能に及ぼす影響を評価した。その結果、当該マウスは脳内でMG蓄積を生じ、統合失調症様行動障害を示した。また、前頭前皮質ではミトコンドリア機能関連遺伝子の発現異常により、呼吸鎖障害及び酸化ストレス亢進が生じていることが明らかになった。
|
自由記述の分野 |
精神行動薬理学
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
今回明らかになった結果は、MG除去機構の障害であるGLO1機能障害とVB6欠損が組み合わさることで、脳内においてMGが蓄積し、前頭皮質におけるミトコンドリアの機能障害及び酸化ストレスの亢進が生じ、結果として統合失調症様行動障害が引き起こされていることを示唆するものである。 本研究成果は、MG除去機構の障害が統合失調症の発症に関与していることを示した初めての研究成果である。本研究で明らかになった障害メカニズムを考慮すると、MG除去機構障害(GLO1機能障害とVB6欠損)を有する患者さんに対しては、酸化ストレスを防ぐ抗酸化物質やVB6の補充が新たな治療戦略として有効である可能性がある。
|