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2022 年度 実施状況報告書

アポクリン癌を含むアポクリン病変診断の分子病理学的再構築

研究課題

研究課題/領域番号 18K06988
研究機関三重大学

研究代表者

小塚 祐司  三重大学, 医学部附属病院, 講師 (50378311)

研究分担者 小川 朋子  三重大学, 医学部附属病院, 教授 (90362334)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2024-03-31
キーワード乳腺 / アポクリン / 筋上皮 / 基底細胞型 / 形質転換
研究実績の概要

乳腺領域におけるアポクリン病変は、良悪性の鑑別に加え、類似の細胞形態を示すTriple Negative乳癌や扁平上皮分化を伴う化生癌との鑑別が問題となる。免疫組織化学での検討では、アポクリン病変に付随する筋上皮細胞の形態・形質に関しては、アポクリン上皮との相互作用に加え、乳頭状構築病変、硬化性病変、拡張乳管内病変等の腫瘍周囲環境によって異なることが示唆された。p53とKi67陽性細胞の率は、良性と悪性病変で異なる傾向の報告があり、各々の良性・悪性領域内でもヘテロな陽性細胞の分布を示すことが明らかになった。またER、PgR、CK5/6陰性、AR陽性を基盤に、HER2陰性(Triple negative type/TN型)もしくは HER2陽性症例(HER2 type)に加え、形態上はアポクリン分化を示すが免疫染色では上記に該当しない非定型である症例が存在した。乳癌においてはサブタイプにかかわらず腫瘍浸潤リンパ球 (TIL) を伴うことがあり、TIL、PD-L 1レベル(SP 142)と免疫サブセットの存在検討では、定型的アポクリン病変に関してはTN 型、HER2(+)型であっても腫瘍免疫応答に乏しいグループに属することが示唆された。TN乳癌細胞株で発現が高く、特に乳癌幹細胞の性質を有する腫瘍での高発現が報告されているGD2は、アポクリン癌は陰性であった。一次線毛に関しては、ほとんどの乳癌細胞では発現がみられず、発現の亢進を認めたものはCK5/6陽性のいわゆる基底細胞型乳癌であった。アポクリン癌と思われる一部の症例にもびまん性の発現を認めたもののReversed Nuclear Polarity(RNP)は不明瞭で、IDH2は陰性であった。断頭分泌を伴う好酸性細胞質とRNP を伴うアポクリンDCISにも分類可能な病変が、Luminal A型を示し、IDH2陽性であった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

アポクリン病変は形態的な判断に基づくと良悪性部が複雑に分布し、一部には移行像も認めたため、各病変の位置関係と関連性の評価の客観性の担保が問題と なった。視点を変え、TMAを用いて通常型浸潤癌や他組織型との差異を追加検討する過程で、CK5/6陽性、一次線毛の非定型的な発現を伴う特殊なアポクリン類似 病変の検討や腫瘍浸潤リンパ球の検証を行ったため、本来の実験予定から遅れている。

今後の研究の推進方策

アポクリン病変とTN乳癌を含む他の組織型、CK5/6陽性、一次線毛、IDH2の非定型的な発現を伴う特殊なアポクリン類似病変の比較解析を行う。

次年度使用額が生じた理由

使用額の大部分を予定していたシークエンスを施行する適切な症例選択が行えていない。CK5/6陽性乳癌と非定型アポクリン癌の形態の比較解析を行う。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] Development of an intraoperative breast cancer margin assessment method using quantitative fluorescence measurements.2022

    • 著者名/発表者名
      Ueo H, Minoura I, Kozuka Y, et. al.
    • 雑誌名

      Sci Rep.

      巻: 20;12(1) ページ: -

    • DOI

      10.1038/s41598-022-12614-6.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] A Case of Metaplastic Squamous Cell Carcinoma of the Breast that Showed a Pathological Complete Response After Neoadjuvant Chemotherapy with Weekly Paclitaxel.2022

    • 著者名/発表者名
      Noro A, Ishitobi M, Kozuka Y, et. al.
    • 雑誌名

      Am J Case Rep.

      巻: 23 ページ: -

    • DOI

      10.1093/bjs/znab265.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 低異型度病変(Rosen triad)を合併した乳腺管状癌の1例2022

    • 著者名/発表者名
      今野 和治, 小塚 祐司 他
    • 学会等名
      日本臨床細胞学会
  • [学会発表] 乳腺報告様式IAC Yokohama Systemの導入 展望と課題2022

    • 著者名/発表者名
      森谷 卓也, 小塚 祐司 他
    • 学会等名
      日本臨床細胞学会
  • [学会発表] 乳腺腫瘍の組織分類改訂と細胞像 特殊型乳癌の細胞像2022

    • 著者名/発表者名
      北山 美佳, 小塚 祐司 他
    • 学会等名
      日本臨床細胞学会
  • [学会発表] ガングリオシドGD2陽性トリプルネガティブ乳癌は予後不良である(Ganglioside GD2 expression is significantly associated with unfavorable prognosis in triple negative breast cancer)2022

    • 著者名/発表者名
      齋藤 佳菜子, 小塚 祐司 他
    • 学会等名
      日本癌学会
  • [学会発表] トリプルネガティブ乳癌におけるGD2発現と予後の検討2022

    • 著者名/発表者名
      齋藤 佳菜子, 小塚 祐司 他
    • 学会等名
      日本乳癌学会
  • [図書] 腫瘍病理鑑別診断アトラス 乳癌第3版2022

    • 著者名/発表者名
      小塚祐司(分担執筆)
    • 総ページ数
      288
    • 出版者
      文光堂
    • ISBN
      978-4-8306-2262-5
  • [図書] 治療戦略に役立つ臨床医・病理医のための乳腺病理の見かた・考え方2022

    • 著者名/発表者名
      小塚祐司(分担執筆)
    • 総ページ数
      204
    • 出版者
      メジカルビュー社
    • ISBN
      978-4-7583-1817-4
  • [図書] 乳腺腫瘍学 第4版2022

    • 著者名/発表者名
      小塚祐司(分担執筆)
    • 総ページ数
      520
    • 出版者
      金原出版
    • ISBN
      978-4-307-20450-7

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公開日: 2023-12-25  

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