研究課題
アポクリン(Apo)変化は乳腺で最もよくみられる形質転換であるが、浸潤性Apo癌あるいはApo型非浸潤性乳管癌に明白な良性Apo病変、境界的な病変が共存することが明らかになり、境界病変と癌にフロントが不明瞭で連続性を有する様な症例も見いだされた。異型度も様々で、限られた針生検検体では現状のApo病変の診断基準は不十分であることが示された。アポクリン病変では良性悪性に関わらず筋上皮細胞(MEC)が減少・消失すると報告されているが、p63、αSMA、Calponin、CK5/6、 CK14等の免疫組織化学(IHC)の検討で、Apo病変に付随する(MEC)の数的・抗原性変化は、乳頭状構築病変、硬化性病変、拡張乳管内病変等の構築・腫瘍周囲環境によって異なっていた。p53 とMIB-1 陽性細胞率は良性悪性病変、連続性を有するApo病変で各々の領域内においてもヘテロな陽性分布を示すことが明らかなり、良性悪性、悪性Gradeに関わらず、MIB-1 indexは低値にとどまった。局所腫瘍微小環境の検討では、CD204(+)M2型マクロファージは定型的Apo病変は、 TN型であっても腫瘍免疫応答に乏しいグループに属することが示唆された。Cell cycle関連蛋白の検証では、一次線毛の発現がほとんどの癌細胞では発現はないが、In situ病変のCK5/6陽性MECと周囲間質の線維芽細胞には発現を概ね認めた。一次線毛発現の亢進を認めた癌細胞は、CK5/6陽性の基底細胞型乳癌であったが、HE染色所見でApo癌と思われる一部症例にもびまん性の発現を認めた。それらの症例はCK5/6が陽性で、甲状腺乳頭癌に類似して核溝や核内封入体が散見されたが、Altered Nuclear Polarityは不明瞭で、複数のIDH2に陰性であった。既存の組織型には該当しないため、今後さらに検討していく予定である。
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Anticancer Res
巻: 43(9) ページ: 4045-4053
10.21873/anticanres.16593.
病理と臨床
巻: 41巻9号 ページ: 931-938