研究課題
脱分化型脂肪肉腫は未分化多形肉腫や粘液線維肉腫との鑑別が難しいことがある。これらの比較検討により、脱分化型脂肪肉腫の診断には免疫染色によるMDM2発現とdual color in situ hybridization (DISH)法によるMDM2遺伝子増幅を証明することが有用であることを明らかにした。一方、p16とCDK4免疫染色は、脱分化型脂肪肉腫と他の肉腫の鑑別には必ずしも有効ではない。新しい腫瘍概念である異型紡錘形細胞・多形脂肪腫様腫瘍の病理学的解析を行った。これらにMDM2遺伝子増幅は認められず、異型脂肪腫様腫瘍との大きな相違点である。異型脂肪腫様腫瘍と筋肉内脂肪腫は再発率が異なるため、正確に診断することが求められる。免疫組織化学的解析の結果、異型脂肪腫様腫瘍でp16陽性細胞が高率に検出され、両者の鑑別に有用であることを明らかにした。後腹膜に発生した異型脂肪腫様腫瘍(高分化型脂肪肉腫)と脱分化型脂肪肉腫の浸潤様式を病理学的に検討した。腫瘍細胞浸潤の評価にはp16免疫染色が有用であった。全例で断端部にp16陽性腫瘍細胞の存在が確認され、切除断端陽性と判断した。腫瘍細胞は脂肪隔壁に沿うように、また筋線維間に浸潤していた。また主腫瘍と離れた部位に嬢結節も見出された。以上の結果から、後腹膜発生脂肪肉腫は浸潤傾向の強い腫瘍であり、完全切除が困難なため、高率に再発すると推測された。四肢に発生した異型脂肪腫様腫瘍と脱分化型脂肪肉腫でも浸潤様式を検討した。その結果、四肢発生例でも大部分の症例で切除断端部に腫瘍浸潤が見出され、浸潤様式は後腹膜発生例とほぼ同じであった。四肢発生例は再発率が低いが、その要因は浸潤様式以外にあると考えられた。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 1件)
Brain Tumor Pathology
巻: 37 ページ: 76~80
10.1007/s10014-020-00359-x
Pathology International
巻: 70 ページ: 1020~1026
10.1111/pin.13030
Applied Radiation and Isotopes
巻: 166 ページ: 109324~109324
10.1016/j.apradiso.2020.109324
Brain Pathology
巻: 30 ページ: 1119~1133
10.1111/bpa.12887
Cancer Medicine
巻: 9 ページ: 4114~4125
10.1002/cam4.3048
Virchows Archiv
巻: 477 ページ: 891~895
10.1007/s00428-020-02838-0
日本臨床 増刊号5
巻: 78 ページ: 191-197
病理と臨床
巻: 38 ページ: 243-248